国際会計基準審、営業利益の定義を標準化 27年から義務付け

Huw Jones

[ロンドン 9日 ロイター] - 国際会計基準審議会(IASB)は、損益計算書の営業利益の定義を標準化し、2027年から企業に公表を義務付ける。

IASBの会計基準は147カ国の約5万社が採用しているが、米国では独自の会計基準が用いられている。

IASBのアンドレアス・バーコウ議長は、企業が営業利益の構成項目を恣意的に決定できる現状に終止符を打つため、会計基準を大幅に変更すると述べた。

現在、多くの企業は「利払い・税・償却前利益(EBITDA)」を報告しているが、IASBの基準ではEBITDAは定義されておらず、さまざまな算出方法で業績を良く見せることが可能だ。

バーコウ氏によると、投資家からは各社の営業利益を簡単に比較できるよう定義の標準化を求める声が出ていた。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏も、EBITDAには減価償却の費用が含まれておらず「誤解を招く」と指摘していた。

IASBの新たな基準では、営業利益の小計を定義し報告を義務付ける。小計には減価償却、のれん償却・減損、財務・所得税前利益が含まれる。

為替変動の調整など一般的な調整は、損益計算書の脚注にのみ記載できる。

EBIDTAの報告を継続することは可能だが、記載できるのは脚注のみ。新たに義務化された2つの小計と整合性が取れることが条件になる。

銀行と保険会社は、ビジネスモデルの柱である利息を営業利益に加えることが必要になる。

企業が望めば、27年の導入前でも新たな会計基準を採用することが可能。

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