西村優菜さん、FWのモデルがバラバラなのはなぜですか?【女子プロセットのどこマネる⁉】

3W・5W・7W・9Wのヘッドが全部バラバラなのが西村のセッティングの特徴(撮影:福田文平)

昨年米国シード獲得に成功し初優勝を狙う西村優菜のセッティングを分析。アマチュアの参考になる点を、フィッター兼クラフトマンの吉田智に聞いた。

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西村プロのセッティングでは、FWのヘッドがモデルがバラバラなのが非常に特徴的です。それぞれにヘッドの特性も異なるのが面白い点でしょう。1Wは『パラダイム◆◆◆S』という小型ヘッドを使っていますが、3Wは『パラダイムAiスモークMAX D』という重心深度が深くてつかまりのいいモデル。5Wは『エピック スピード』という浅重心で前にボールが飛び飛距離性能に優れたヘッドを採用、7W・9Wは『グレート ビッグバーサ』という癖のないスタンダードなヘッドをチョイス。3Wだけ明らかにクラブで球をつかまえて上げようという意図が見られますね。

FWのシャフトチョイスも面白いんです。1Wシャフト『スピーダーNXグリーン 50SR』は中調子、3Wシャフト『スピーダーNXブラック 50SR』は先調子、そして、5Wシャフト『スピーダーNXブルー 50SR』は中調子に戻ります。最後の7W・9Wシャフト『スピーダー エボリューションⅢ 569 SR』は先調子を採用しています。3Wと7W・9Wは先がしなり戻り芝からでも打ちやすい先調子を使って、シャフトでも球を上げたいのでしょう。非常にうまい組み合わせだと思いますね。

このセッティングは、ヘッドの売り文句を鵜呑みにするのではなく、実際に自分で打ってその結果で決めてきたんだろうという組み合わせ。この番手では、こういう弾道が打ちたいからこのヘッドを選ぶという意図が非常に分かる上手いセッティングですね。

アイアンも6番だけ『パラダイムAiスモークHL』というソール幅が広くてグースネックのヘッドを使っています。ロフトが立って上がりにくい番手に、やさしいつかまるモデルを入れてカバーする姿勢はアマチュアが見習うべきものです。

『モデルはなるべくブランドを合わせよう』というのが今までのセッティングのセオリーですが、ヘッドのモデルはバラバラでも正解。苦手な番手だけやさしいモデルに変えることで、ヘッドが仕事をしてミスをカバーしてくれるんです。

ただシャフトに関しては、アマチュアは統一することが絶対オススメ。シャフトの調子が違うと振り心地が揃わなくなり、ミスヒットが増えてしまいます。プロは絶対的に技術が高く、シャフトを変えることにも明確な意図がありますが、アマチュアは別。真似しない方がいい点なので、注意しましょう。

【西村優菜のギアセッティング】
1W:キャロウェイ パラダイム◆◆◆S(9度、スピーダーNXグリーン 50SR)
3W:キャロウェイ パラダイムAiスモークMAX D(15度、スピーダーNXブラック 50SR)
5W:キャロウェイ エピック スピード(18度、スピーダーNXブルー 50SR)
7・9W:キャロウェイ グレート ビッグバーサ(21・24度、スピーダー エボリューションⅢ 569 SR)
6U:キャロウェイ GBB エピックスター(26度、MCH 60R)
6I:キャロウェイ パラダイムAiスモークHL(MCI 70R)
7I~PW:キャロウェイ X フォージド スター(MCI 70R)
52度:キャロウェイ ジョーズロウ(MCI 80S)
58度:キャロウェイ ジョーズロウ フォージド(MCI 80S)
PT:オデッセイ Ai 1 ロッシーS
BALL:キャロウェイ クロムソフト X トリプルトラック

■西村優菜
にしむら・ゆな/2000年8月4日生。大阪府出身。19年のプロテストで一発合格。翌20年の「樋口久子 三菱電機レディス」でプロ初優勝、21年に国内メジャー初勝利を飾った。23年から米ツアーに挑戦しシードを獲得している。スターツ所属

■吉田 智
よしだ・さとし/クラブメーカーを経て「プレミアム ゴルフスタジオ」(渋谷区)でフィッターを務める。アマチュアだけでなく多くのプロからも信頼され、これまでに女子ツアー5勝、ステップ・アップ・ツアー1勝、シニアツアー1勝をサポートしている

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