岸田首相、外遊に出たとたん「6月解散説」飛び交う…永田町ではだれもが疑心暗鬼で右往左往

アメリカの到着した岸田首相(写真:AP/アフロ)

4月8日から訪米中の岸田文雄首相。10日にバイデン大統領との首脳会談がおこなわれ、11日には日本の総理として9年ぶりとなる米議会での演説に臨む。

出発前、日本では裏金問題で39人の議員に処分を下すなど大荒れだったが、異国の地で岸田首相も多少は開放感を味わっているのかもしれない――そんななか、日本では、ある会談に注目が集まっている。

政治担当記者が言う。

「4月4日、午前11時20分から11時50分までの30分間、岸田首相は党本部で事務総長の元宿仁氏と会談しました。会談の中身は不明ですが、ある自民党関係者が『党独自の衆院選調査を報告し、情勢分析をしたのかもしれません。いよいよ岸田さんは6月の会期末に解散するのではないか』と話したため、永田町に『すわ、6月解散か!?』との憶測が流れました。

党の独自調査を、党内で最初に手にするのが、元宿氏です。調査内容は党総裁、副総裁、幹事長、選対委員長、政調会長、総務会長など、あるいは各派閥の長など、ごく限られた議員にしか知らされませんから、関係者のだれもがソワソワしてしまうのです」

自民党衆院議員のベテラン秘書が、この独自調査について指摘する。

「元宿さんが岸田さんと30分も話したのなら、おそらく28日投開票の衆院補選と次期衆院選の情勢を議論したと考えられますね。6月解散かどうかは別にしてね。

情勢調査の数字の生データは、一部の党幹部だけに知らされ、選挙区支部にはその支部だけのものが下りてくるのですが、私は『鉛筆を舐めている』と思っています。つまり、生の数字は来ないものと思って、半分くらいしか信用していないんです。

数値は選挙区支部ごとに操作され、楽勝モードの得票の場合は、気を抜かないように数値を下げ、逆に劣勢の場合は、やる気を失わない程度まで数値を上げるのです。党本部は、間違いなくこれをやっているはず」

現在、自民党内には、この岸田・元宿会談に関係する解散話以外に、もうひとつ大きな解散話があるという。別の自民党関係者が言う。

「『岸田さんは、内閣支持率が3ポイント上がったら、解散を決断すると考えているようだ』という話が党内で出回り始めました。しかし、いくら野党候補が一本化されていないとはいえ、たったの3ポイント上昇で解散なんて無謀だという声が党内からも聞こえてきます」

最新のNHK世論調査では、内閣支持率は、支持するが2ポイント下がって23%だったのに対し、支持しないは1ポイント上がって58%だった。

前出・政治担当記者は、岸田首相の考えをこう推測する。

「執行部のシナリオとしては、今国会中に政治資金規正法改正を成立させ、政治改革の “やった感” を出し、6月に賃上げの実感が出ることに期待して、支持率が上がった場合、解散に踏み切るという流れです」

ある野党幹部は、この3ポイントアップ解散について、「次の衆院選挙を考えれば、自民党議員は岸田さんで戦いたくない。みんなで寄ってたかってやめさせるとみています。解散なんてできるわけがない」と吐き捨てる。

別の立憲関係者は、「岸田さんが解散できるということならば、岸田さんを “羽交い絞め” にできる人が党内にいないということですね。解散総選挙後に、たとえ政権を維持できたとしても、かなりの数の自民党議員が落選することになるので、そうとう恨みを買うはずです」と言う。

岸田首相は14日に帰国するが、16日には衆院補選(東京15区、島根1区、長崎3区)の告示日が控えている。「選挙で島根1区を落とせば、岸田政権はレームダックに陥り、ポスト岸田の動きが本格化する」(前出・政治担当記者)と党内では警戒されている。

自民党の茨の道は、まだまだ続きそうだ。

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