宅配装い被害者連れ出し、監禁か 青森・七戸町の死体遺棄事件

送検のため青森署を出る会社役員の男=9日午後1時16分(写真は一部加工しています)

 青森県七戸町で発生した死体遺棄事件を巡り、遺体で見つかった同町の男性(54)に暴行し、無理やり車に乗せて連れ出したとして逮捕、起訴された同町の男女4人が1月の犯行時、宅配業者を装って男性方を訪れ、外へ誘い出して車に押し込んでいたことが9日、起訴内容要旨で明らかになった。

 青森地検が3月31日付で加害目的略取と監禁の罪で起訴したのは、会社役員の男(47)、45歳と52歳の会社員の男、飲食店従業員の女(38)の4被告。県警は同月10日、4人を加害目的略取の疑いで逮捕していた。

 起訴内容などによると、1月7日午後6時35分ごろから同50分ごろまでの間、男性方を女が宅配業者を装って訪れ、外に出た男性の顔を会社役員の男が複数回殴打。さらに、転倒した男性に馬乗りになり、52歳の男が男性の両足を手で押さえるなどの暴行を加えた上で、45歳の男が運転する車の後部座席に無理やり乗せ、車を走らせたとされる。また、同56分ごろまでの間、男性を車から脱出するのが困難な状態にさせ、町内の資材置き場に連行した。いずれも4被告が共謀し、男性に危害を加える目的だったとされる。

 地検の中川知三次席検事は監禁罪を加えて起訴した理由を「所要の捜査」としつつ、「暴行し車に乗せて走行した場合、(男性が)逃げるのは著しく困難とし、監禁罪に当たると判断した」と述べた。女は車に乗らなかったが「共犯関係にある」とした。

 事件を巡っては4月1日、県警がこの資材置き場とは別の七戸町内の私有地を捜索したところ、深さ約6メートルの土中から男性の遺体を発見。司法解剖の結果、多発肋骨(ろっこつ)骨折による出血性ショックや窒息が死因とみられる。土地所有者は事件に無関係だが、会社役員の男は業務でこの土地に出入りしていたという。

 県警は8日、男性の遺体を2月上旬ごろに土中に遺棄したとして、死体遺棄容疑で会社役員の男と45歳の男を再逮捕。遺体の発見状況などから殺人事件と断定し同日、七戸署に捜査本部を設置した。9日、両容疑者を同容疑で青森地検に送検した。

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