【中国】パナソニックの住宅事業、高級物件に照準[電機]

中国で開催中の冷凍・空調分野の大型展示会で会見するパナソニックHDの本間哲朗副社長(中央)、中国・北東アジア社の中山正春執行副総裁(右)=9日、北京市

パナソニックホールディングス(HD)は9日、中国で住空間事業の競争力を引き上げる戦略を発表した。中国では不動産市場が低迷する中でも、付加価値の高い住宅の需要が高まっており、日本で培った健康で快適な住空間の知見を生かし、高級不動産向けの住宅設備販売に力を入れる。

北京市で開催中の冷凍・空調分野の大型展示会で会見を開き、住空間の事業戦略などを説明した。パナソニックHD中国・北東アジア社の中山正春執行副総裁は、住みやすく実用的な空間設計と高齢者などに配慮した同社の健康ソリューションは「質の高さを求める中国富裕層のニーズにマッチしている」と述べ、「われわれのような外資企業にも追い風になる」との見方を示した。

中国・北東アジア社は今月、住建空間事業部に新たに「WS(ウェルネススマート)事業本部」を設置した。空間のコンサルティングから施工、アフターサービスまでをワンストップで手がけ、現地の不動産開発業者に提案していく方針。

中国では2021年から住宅の新規着工面積が低迷しているが、パナソニックのWS事業は伸びを維持。24年度の売上高は前年度比で約2倍になると見込む。今年は大型案件の納入も控えており、25年度には24年度比で3倍以上に成長させる考えだ。

展示会では、温度や静音など六つの要素を一括制御するシステムを紹介した。今月からは同システムに床暖房制御を加えた新機能を中国で発売し、本年度中には照明も連動させる新機能を投入する計画。同システム販売は26年に2万台とする目標で、23年実績(約3,000台)比で6倍以上を狙う。

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