困りごと課長が聞きます 5月移転の入善町役場 窓口近くに座席配置

5月に移転して業務を開始する入善町役場の新庁舎=同町入膳

 入善町は5月の新庁舎移転に合わせ、庁内全課の課長席を窓口の間近に配置する。窓口業務は従来通り担当職員が行うが、困りごとの相談などに訪れた町民の声は課長がいち早く聞き取り、解決につなげる。笹島春人町長は、町民と接する機会の多い窓口近くに管理職が座ることで、「率先して汗をかき、サービスを高めてほしい」と期待する。

 町によると、従来はおおむね窓口から離れた席から順に、課長、係長、ほかの職員、窓口担当と配置されてきた。新庁舎では、課長の席を窓口付近に移し、来庁した町民がどんな要望や相談を寄せているか素早く把握し、適切な担当職員や課まで案内する業務を担ってもらう。

 入善町庁舎は移転に伴って4階建てから3階建てとなり、各フロアに入る部局も一部変わる。1階には住民環境課や保健福祉課、結婚・子育て応援課といった窓口応対が多い課を置く見込み。総務課や教育委員会事務局などは2階となる。

 配置場所が変わるため、新庁舎での業務スタート当初は町民がどの場所に足を運べばよいか分からなくなるケースが想定される。町では新たに総合窓口担当の職員を置くほか、案内板(サイン)も充実させて混乱がないようにするが、各課でも課長をはじめ万全を期してもらう。

 職員の座席配置に関しては、県内では南砺市が固定席を廃止する「フリーアドレス」の実証実験を行っている。ただ、入善町の取り組みは、県も「県内の自治体で聞いたことはない」(市町村支援課)といい、珍しいとみられる。

 笹島町長は「『これが役所』という固定観念にとらわれず、イメージを変えていきたい」と強調した。

 課長の一人は「器だけ立派になっても意味はない。新庁舎になって行政サービスも上がったと評価されるようにしたい」と語った。

© 株式会社北國新聞社