「大好き」なめこ育てたい 白山・木滑、特産品担い手に地元の新人

なめこの生産担当として今春入社した前古さん=白山市木滑の山立会

 子どもの頃から大好きだったなめこをこの手で育てたいと、今春翠星高を卒業した18歳が、地元特産のなめこの生産者として新たなスタートを切った。白山麓地域の活性化に取り組む「山立会」(同市木滑)に入った前古琉衣斗(ぜんこるいと)さん。若手の確保が難しく人手不足が深刻な業界だが、足を踏み入れることに迷いはなく、「木滑のなめこをたくさんの人に知ってほしい」と意気込んでいる。

  ●ゲームがきっかけ

 スマートフォンのゲーム「なめこ栽培キット」で遊んだことがきっかけで興味を持ったという前古さん。ゲームにとどまらず、実際に栽培してみたいと思うようになった。

 中学卒業後、翠星高への進学が決まった春休みには、山立会のなめこ収穫体験に参加。大きなものでは、かさの直径が5センチほどになる本物に初めて触れ、「ここで働きたい」との思いが固まった。高校2年では山立会のインターンシップも経験、入社が決まった。

 1日に始まったなめこ担当としての生活は、午前3時に起床し、野々市市の自宅から白山麓に通う日々だ。5時から収穫がスタートし、その後、生産の基礎を学んで、仕分け、梱包(こんぽう)と業務は多い。それでも「なめこの形が好きで、かわいくて仕方ない。なめこに囲まれて幸せ」と笑顔を見せる。

 山立会のなめこは、小粒、スーパーで販売されているサイズ、重さ30グラム以上の「でけえなめこ」など、色やかさの開き方などを含めて7種類に選別して出荷している。前古さんは「収穫期を見極めるのは大変だけれど、木滑のなめこは、やっぱりぬめりが他の市販品と違う」と話す。

 「得意の絵や料理を生かし、特産品としてのなめこをPRする仕事に力を入れていきたい」と、レシピの周知などにも意欲を見せる前古さん。有本勲代表は「熱い思いで入社してくれた。やりたいことに挑戦しながら楽しく働いてほしい」と期待している。

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