西松建設/場所打杭の支持層到達「見える化」、掘削機の振動データ判断材料に

西松建設は9日、アースドリル工法を用いた場所打ちコンクリート杭の施工で、支持層への到達確認がより高精度で瞬時にできるシステムを開発したと発表した。現場技術者の目視を基本とする従来方法に加え、地盤の固さに応じて変化する掘削機の振動を「見える化」したデータも支持層到達の判断材料とする。今回開発したシステムを実際の現場に適用し、さらなる信頼性向上に努めていく。
アースドリル工法による場所打ちコンクリート杭の支持層到達確認は、掘削時に採取した土砂と事前のボーリング調査で採取したサンプル試料を現場技術者が目視で比べる方法が一般的。ただ全ての杭位置でサンプル試料がそろうことは珍しく、支持層と支持層上部の土質変化が小さい地盤では現場技術者が支持層到達を見誤ることも懸念される。
西松建設は支持層到達の目視確認を補完し、より高精度な確認方法として掘削機の振動を活用するシステムを開発した。地盤の固さに応じて変化する振動の大きさを、車体に取り付けた無線式の加速度センサーで測定する。次いで測定したデータに基づき支持層到達の基準とする「加速度指標」を作成し、地盤深さと振動の大きさの関係を見える化。運転席に取り付けた深度計の表示から画像処理を経て取得した深度情報も活用し、同指標の深度分布を瞬時に作成・表示できるようにする。
最終的には同指標の深度分布と掘削前のボーリング調査で得られた地盤の固さや締まり具合を示す「N値」の関係性を1本目の杭施工で把握。その際の情報や同指標の深度分布変化を基に2本目以降の杭施工も支持層到達を判断する。
システムは複数機種の掘削機に対応。現場技術者は携帯端末で測定結果を瞬時にモニタリングできる。

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