財務省/能登半島地震の復興で見解、集約的な街づくりなど検討を

能登半島地震からの復旧・復興を巡り、財務省は「住民の方々の意向を踏まえつつ、集約的な街づくりやインフラ整備の在り方も含めて十分な検討が必要」との見解を示した。被災地の多くが人口減少局面にある中、将来の需要減少や維持管理コストを念頭に置く必要性を強調。今回の震災を踏まえた防災・減災対策の進むべき方向として、液状化リスクの高い区域の土地利用規制強化などのソフト対策をハード整備と一体的に進める必要性も説いた。
9日に開かれた財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)財政制度分科会で、社会資本整備の在り方を分析、展望する中で震災復興に触れた。東日本大震災後に土地区画整理事業で造成した土地の活用状況が平均7割程度にとどまり、ほとんど活用されていない土地があることを示しつつ「過去の災害の事例も教訓に」と訴えた。
土地利用規制を液状化リスクの高い区域にかける仕組みが現状ないことも指摘。能登半島地震の土砂災害で倒壊・流出した建物の85%が土砂災害警戒区域内にあったことから、特に新規立地は「安全な地域への居住をより促していく必要がある」とした。
社会資本整備全般への指摘として、人口減少を背景に費用便益比(B/C)が低いインフラ整備事業が増加傾向にあることから「将来世代にも受益が及ぶ事業に一層の重点化を図る」必要性を強調。公共投資の増大が民間投資を圧迫する「クラウディングアウト」と呼ぶ説を持ち出し、公共事業の予算規模の増加や公共工事設計労務単価の引き上げの結果として民間工事の円滑な施工に影響を及ぼすことがないよう留意が必要とも主張した。

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