国交省/上下水道の一元管理スタート、機能強化推進や積算基準見直し

国土交通省は厚生労働省から水道行政の移管を受け、1日に上下水道の一元管理を始めた。下水道や河川、道路で培ったインフラの整備・維持管理のノウハウを生かし、地震対策を含め上下水道施設の機能強化を図る。水道事業の経営効率化に向け、維持管理を民間に委託する官民連携の普及も推し進める。=2面に松原誠官房上下水道審議官インタビュー
水道行政の移管を見据え国交省は、能登半島地震の被災地で水道復旧を本格的に支援した。同省初の取り組みで、浄水場につながる道路を優先的に啓開するなど早期復旧を後押しした。今後は上下水道施設の被害状況を踏まえ、上下水道の耐震対策の方向性や補助制度などを検討する。5月をめどに被災自治体向けの助言をまとめる。2025年度予算の概算要求にも反映し、支援策を打ち出す。
組織体制も一新した。本省に新設した「上下水道審議官グループ」には、上下水の両分野を所管する「上下水道企画課」と「官房参事官(上下水道技術)」を配置。上下水道が抱える経営や技術開発などの共通課題を同一の部署内で対応できるようにした。
各地方整備局では、河川部に上下水道行政を運営する部署を新設。建政部が所管していた下水道事業も河川部に移した。河川行政との連携を一層深め、流域治水の観点からも、さまざまな施策を打ち出していく。
上下水道施設などの維持管理や修繕、更新を一体的に民間に委ねる「ウオーターPPP」の普及を加速する。政府は31年度までに水道、下水道で100件ずつ事業を具体化する目標を掲げている。国交省は24年度、補助制度として「上下水道一体効率化・基盤強化推進事業」を新設。ウオーターPPPを進める自治体に対して、検討費用などを補助する。
上下水道の一元化は、建設業界からも持続的成長に向け期待の声が上がっている。国交省は今後、上水道と下水道の工事の積算基準をそろえるために検討を始める。「労務単価や歩掛かりなど、まずはしっかりとデータを取って分析していく」(松原誠官房上下水道審議官)方針だ。自治体が発注する水道工事についても、適切な時期や金額、工期などに配慮するよう求める。

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