東北整備局宮城南部復興/丸森緊急砂防事業の完成は26年度へ、河道掘削は9割完了

東北地方整備局宮城南部復興事務所は、2019年10月の台風19号からの復旧事業として推進してきた内川流域直轄特定緊急砂防事業(宮城県丸森町)の完了時期が2年程度延長し26年度になるとの見通しを公表した。事業費は工期延長などで約50億円増額の183億円と試算した。阿武隈川水系の3河川(内川、五福谷川、新川)で施工する河道掘削は3月末時点で全体の9割弱相当の38万立方メートルが完了。堤防の断面拡大強化工事は7割程度の区間で着工している。
8日に丸森町内の現場で河川、砂防事業の現状を報告する報道陣向け説明会を開いた。皆澤和哉工務第一課長が砂防事業の進捗を説明し、「設計時に予期しなかった大量の巨石が発掘され、工期の遅れや事業費増の要因になっている」と話した。
八重樫博男副所長(河川・砂防担当)は「効果的な防災には砂防と河川、上流と下流の事業バランスが重要だ」と指摘。「転石処理など新たな課題も浮上している。建設会社の皆さんと力を合わせて一日も早い完成を目指す」と力を込めた。
宮城県の要請を受けた直轄権限代行で「阿武隈川水系内川、五福谷川、新川河川復旧事業」(河川)「内川流域特定緊急砂防事業」(砂防)「国道349号丸森地区災害復旧事業」(道路)に対応している。24年度予算額には3事業で約80億円(河川約12億円、砂防約24億円、道路約44億円)を計上。23年度の補正予算と合わせた切れ目ない事業で丸森町の復旧・復興を目指す。
河川事業では決壊した堤防の機能強化としてのり尻に盛り土する「断面拡大工法」に取り組んでいる。住家が近い箇所はかごマットで保護。3月末時点で盛り土量は約14万立方メートル(全体の40%弱)。構造物の改築では20%強が完成済みになっている。河道掘削で発生した大量の土砂は、砂防ソイルセメント(INSEM工法)で土質改良処置を講じた上で堤防の盛り土などに活用している。河川事業の完了は本年度内を目指しているが、今後生じた課題などを踏まえて検討する。
特定緊急砂防事業では、内川、五福谷川、新川の3河川で大規模な遊砂地整備工事に着手。並行して既設砂防堰堤6基の機能強化を目的としたスリット化、かさ上げなどの改築、新設4基などを計画し9割で着工している。

© 日刊建設工業新聞社