石川佳純さん キャスターとしてパリ五輪へ 15歳・張本美和に期待「勢いのあるプレーをしてほしい」

インタビューに応じた石川佳純さん

〝華麗なる転身〟の一歩を踏み出した。卓球女子で五輪3大会連続メダリストの石川佳純さん(31)が単独インタビューに応じ、フジテレビ系「パリ2024オリンピック」中継のスペシャルキャスターとして臨む大舞台への思いを語った。パリ五輪で金メダルを目指す後輩たちに金言を送る一方で、自身も新たな挑戦をスタート。選手ではなく、新たな立場からスポーツの魅力を伝えていく構えだ。

――木下グループのスポーツアンバサダーや、パリ五輪中継のスペシャルキャスターへの就任が決まるなど、アスリートの魅力を伝える機会が増えている

石川さん(以下石川)いろんな競技の選手を取材させていただいて、新しい発見だったり、選手から直接話を伺うことで、さらに魅力を感じることができている。パリ五輪では選手、競技の魅力を精いっぱい伝えたいし、選手の気持ちに寄り添ったインタビューをたくさんの方にお伝えしたいです。

――インタビューに答えることよりも、する方が100倍緊張すると話していた

石川 やっぱり本音を引き出せるようなインタビューをしていきたい。試合直後にインタビューをすることもあると思うけど、いい時も悪い時もスポーツなので結果はついてしまうが、選手の声をしっかり聞いて伝えたいですね。

――卓球の女子日本代表は2月の世界選手権団体戦の決勝で、中国と激闘(2―3で敗戦)を演じた

石川 本当にいい試合だったと思うし、最後の最後までどちらが勝つかわからない試合だった。張本(美和)選手は結果的に2回負けてしまったが、パリ五輪につながるプレーを最後までしてくれた。団体戦の緊張したラスト(第5試合)を戦ったのは貴重な経験だったのでは。パリ五輪までは残り3か月ほどだが、さらに進化をして、まずは一戦ずつだとは思うが、中国に挑戦してほしいです。

――張本にとっては悔しい試合になったが、伸びしろはたっぷりとある

石川 見るたびに成長していると感じるような、本当に伸び盛りの選手。世界選手権でもポイントゲッターとして試合に出場していたので、そういうプレーを期待されると思う。でも、初出場かつ最年少(15歳)なので勢いのあるプレーをしてほしいし、思い切りやることが一番。いろいろ考えてしまうとは思うけど、そこはお姉さん方(早田ひな、平野美宇)に任せて、張本選手は最年少らしく悔いのないプレーすることで、年上の選手も気持ちが乗ってきたら、チームの中でもいい効果が生まれると思います。

――東京五輪でダブルスを組んだ平野にも注目

石川 平野選手も本当に力をつけていて、昨年は中国勢にたくさん勝っている。爆発力がある選手なので、パリ五輪でも期待したい。本当に楽しみだし、ワクワクさせてくれる選手。ゾーンに入った時の強さは誰にも止められない強さがあると思います。

――収穫もあった一方で、世界女王・孫穎莎のプレーに中国の底力を感じた

石川 いや、強いなと思った。何度も対戦したことがあるので、強さはよくわかっていたつもりだったけど、プレッシャーがかかった場面、中国が負けるかもしれないという場面であのプレーをするんだという衝撃を受けた。技術面だけの強さじゃなくて、精神的な強さも感じました。

――石川さんだったらどんなメンタルで中国と対戦する

石川 なかなか難しいと思うが、強い相手に勝つのはもともと難しいからこそ、勝つ勇気を持つことが大切だと思っている。強い相手に勝ちたいと思うことは何回も対戦すると難しくなってくる部分もあるので「勝つんだ!」という強い信念を持って戦うことが大事になってくると思います。

――パリ五輪では激しい戦いが予想されるが、卓球の男女日本代表に期待することは

石川 女子はもちろん、男子も金メダルを目指していると思うので、みんなで切磋琢磨してほしい。みんながいい状態で迎える五輪だと思うので、悔いのないようにプレーしてほしいです。

――石川さんにとっても今回の五輪は選手ではなく、初めてキャスターとして臨む

石川 初めてのチャレンジにはなるけど、精いっぱい務めたいと思っている。五輪の魅力を全力でお伝えできたらいいなと思っています。

☆いしかわ・かすみ 1993年2月23日生まれ。山口県出身。7歳から本格的に卓球を始めると、14歳で日本代表入り。2011年全日本選手権シングルスでは22年ぶりとなる高校生女王に輝いた。12年ロンドン五輪では、日本勢男女初となるシングルス4強入りを果たし、団体でも初の銀メダル獲得に貢献。16年リオデジャネイロ五輪は団体銅、21年東京五輪は団体銀メダルに導いた。17年世界選手権では混合ダブルスで日本勢48年ぶりの金メダルを手にした。157センチ。

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