【ゼロワン】夏の風物詩「火祭り」が消滅危機 選手の〝二極化〟と赤字体質で異例事態

大谷晋二郎(左手前)ら多くのレスラーたちが「火祭り刀」を目指し、激闘を繰り広げてきた(2002年)

ゼロワン夏の風物詩「火祭り」が消滅の危機に直面している。団体は「ダイコーゼロワン」によるベテラン勢を中心とした「リアルゼロワン」と、若手勢の「栃木プロレス」に二極化し、双方が「ゼロワン」として興行を開催する事態が続く。

ファンの間で騒動になったのが、団体恒例となっている今年の元日興行(後楽園ホール)。リアルゼロワンの田中将斗、菅原拓也、クリス・ヴァイス、横山佳和が参加しなかったのだ。

ゼロワン取締役を務めるオッキー沖田氏によると、発端はオーナーの「ダイコーホールディングスグループ」神長大会長から「赤字になる興行はやらないように」という方針が示されたことだという。「神長会長にはコロナ禍でも団体を救っていただき、押忍プレミアム興行を立ち上げてもらい、感謝しかない」(沖田氏)という一方で、コロナ明けも赤字興行が続いていた団体は昨年12月に試合が組めない状況に陥った。

そこで沖田氏は、カミウトラストホールディングス社が運営する栃木プロレスに協力を要請。2008年から大谷晋二郎をサポートしてきた臼井伸太郎代表は「ゼロワンの試合がなくなるのはよくない」と理解を示し、元日興行を栃木プロ主催で開催するに至った。

だが、これまで栃木プロに参戦していた若手勢は出場したものの、リアルゼロワンの田中らの出場はかなわず。団体の「23周年大会」として開催された3月3日後楽園大会でも同様の事態となった。

この状況から宙に浮いた格好となっているのが、今夏で24回目を迎える火祭りだ。総当たりのリーグ戦となるためシリーズ開催が必要となるが、現状では興行が組めていない。沖田氏は「23年続けてきましたし、大谷晋二郎がつくったものをここで絶やすわけにはいかないんです」と訴えるが…。

解決には赤字体質の脱却と、ニ極化からの脱却が不可欠。これまで何度も〝お家騒動〟に見舞われた老舗団体は立ち直れるのか。

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