吉沢亮 約1年半ぶりにSPドラマ放送の『PICU』への思い「居心地のいい現場。僕にとっての“帰る場所”になれば」

吉沢亮さんが、自身が主演を務めるドラマ『PICU 小児集中治療室 ペシャル 2024』の取材会に参加し、撮影エピソードや作品への思いを語りました。

『PICU 小児集中治療室』は、北海道のPICUを舞台にかけ出しの小児科医・志子田武四郎(吉沢)が幼い命を救うために奮闘しながら、医師として、人間として成長していく姿を描いたメディカルヒューマンドラマです。

吉沢亮 PICU続編に歓喜 吉沢亮「また皆さんにお会いできる!」とPICU続編に歓喜

──再び『PICU』が制作されると聞いたときの心境はいかがでしたか?

役者の皆さんも、スタッフの皆さんも気持ちのいい方ばかりで、すごく居心地のいい現場だったので、「また皆さんにお会いできる!」ということが純粋にうれしかったです。

実際、お会いした皆さんはいい意味で変わらず、笑いが絶えない現場で、幸せでした。

──前作の放送後、何か反響はありましたか?

友だちから「全話見た」ということを言ってもらえましたし、たくさん反響をいただきました。『PICU』は僕にとって久しぶりの連続ドラマ出演で、初めてのゴールデン帯の主演ということもあって、すごく挑戦が多い作品でした。その反響の多さはうれしかったです。

──今作の台本を読んだ感想を聞かせてください。

連続ドラマのときからそうなのですが、すごくつらい現実が描かれながらも、笑える部分は笑えるし、生活感を感じる台本だなと改めて思いました。それが『PICU』の良さだと思うので、変わらず「好きだなぁ」と。

武四郎に関しては…相変わらず、“ちょっとかわいそうな奴”ですよね。ダサいなと思いました(笑)。

──自ら「エースですから」と言っている感じとか?

そうですね。ちょっとはき違えている感じが愛くるしいなと思います。あと、子どもへの愛情は変わっていなかったので、良かったなと思いながら台本を読みました。

ただ、先輩になったこともあって、後輩を見ながら何もできなかった頃の自分を重ねていて、どう触れたらいいか分からない葛藤もあり、演じている間はずっと悩んでいた気がします。

武四郎が成長し「こんな大変だったっけ?」 武四郎の成長と共に増えた専門的な動きと用語に吉沢亮「こんな大変だったっけ?」

──前作から約1年経過し武四郎にも変化があると思いますが、その変化はどのように演じましたか?

あまり変えることは考えていませんでした。連続ドラマのときも「あまり芝居をしようとしない」ことを意識していて。その場で感じたものを表現しようとはせず、「ただその場で感じているだけ」というふうに演じていました。

それは、前作の台本を読んだときに、武四郎に近いものが自分にもあるなと感じて、作り込むよりも僕の感情をそのまま使ったほうがリアルでいいんじゃないかと思ったからなんです。

今回も、約1年経っているとか、成長をしているからということは意識せず、そのままで演じました。

──医療所作や専門用語は前回以上に必要な場面が増えたと思いますが、そのあたりの変化はいかがでしたか?

すごく難しい動きや言葉が増えて、「こんなに大変だったっけ?」という感じでした。成長は意識していないと話しましたけど、ほぼ1人で手術を回すシーンがあって。

大変でしたけど、医療監修の先生方が丁寧に教えてくださるので、なんの心配もなくやらせていただきました。

──所作と専門用語はどちらが難しかったですか?

意外と動きよりもセリフのほうが難しかったかもしれません。動きとセリフが両方あると覚えやすいな、ということは思いました。

──医療もののセリフは、ほかの作品のセリフと覚え方は違うのでしょうか?

覚え方は一緒ですが、現場で柔軟に対応できるように、基本的に何度か台本に目を通して、なんとなくセリフが頭に入ったら、あとは現場で形にするようにしているんです。

でも、今回の手術シーンのように難しい医療用語がたくさん出てくる場合は、“なんとなく”ではダメなので、完ぺきに覚えてから現場に入っていました。

──久しぶりの『PICU』の現場ですぐに武四郎に戻れましたか?

スッと戻れたような気がしています。

あと、武四郎の自宅のシーンを撮るときに、連続ドラマのときと同じ導線を通って家に入ったら懐かしくて、「帰ってきたな」という感じがしました。

“母”大竹しのぶとのシーンは「グッとくると思います」 母役・大竹しのぶとのシーンは「グッとくると思います」

──物語の冒頭には母・南(大竹しのぶ)とのシーンもあります。撮影はいかがでしたか?

大竹さんの放つオーラはすごく温かくて、いい意味で遠慮せずにぶつかっていける。1年ぶりの再会でお芝居をしても、最初からいいテンポ感でセリフのやり取りをさせていただけたなと思います。

今回は冒頭だけですが、結構グッとくるシーンになっていると思います。

──武四郎の後輩として登場する研修医・瀬戸廉役の小林虎之介さん、七尾乃亜役の武田玲奈さんの印象を聞かせてください。

連続ドラマがあってからのスペシャルドラマなので、お2人ともやりづらい部分もあったかと思います。でも、フラットに臨まれていて、現場になじんでいましたし、すごいなと思いました。

特に虎之介くんとは一緒になるシーンが多くありましたが、ストイックにお芝居に向き合っている感じが素敵でした。ただ、撮影当時、虎之介くんは丸刈りで、本番はウィッグをつけてやっていたこともあって、撮影終わりにメイクを落として声をかけられると、誰だか分からないということが何度かありました(笑)。

──研修医役の2人がいることで、武四郎として成長の実感はありましたか?

確実に仕事はできるようになっているなと思いました。連続ドラマの1話のときは何を言われても分からなくてウロウロしているだけだったけど、今回は指示を出す側ですから。

──ほかのキャストの皆さんとの撮影エピソードはありますか?

前回は、コロナ禍だったこともあって、ご飯に行く機会がなかったのですが、今回は北海道ロケの際に安田(顕)さんとお寿司を食べに行くことができました。お酒を飲みながら、いろいろな話をすることができて、楽しかったです。

吉沢亮が後輩との会話で意識すること 吉沢亮が後輩との会話で意識することは「先輩面しないこと」

──武四郎が先輩になる点が今作の見どころの一つ。吉沢さんご自身は、仕事をするなかで、“先輩”になったと実感する瞬間はありますか?

以前は、例えば学園ものをやっていて、同世代という枠組みでいろいろな役者が集まったときに、その中でも自分が一番年下のことが多くありました。でも今は、同世代として集まっても僕が一番年上にいることが多くて。

“先輩になった”というよりも、単純に年を取ったなと感じますね。だからと言って、現場で特別意識が変わったということはないのですが。

──「先輩だからこうしなきゃ」などと思うこともないですか?

ないですね。少し前まではあったのですが、そうやって考えることにちょっと疲れちゃったので(笑)。

──アドバイスを求められるなど、後輩との会話で意識することは何かありますか?

そんなにアドバイスを求められることはありません。でも、もし求められることがあったら“先輩面(づら)”をしないように、ということは意識しています。嫌な奴だと思われたくありませんから(笑)。

──エピソードを重ねて、『PICU』は吉沢さんにとってどんな存在の作品になりましたか?

僕にとっての“帰る場所”のような作品になってくれればうれしいなと思っています。

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