紹介料を払うべき? 92歳医師、電子カルテ入力できず手書きも読めず不採用 那覇地裁は医療法人に297万円の支払い命令

 医師専門の紹介会社ABE(東京)が医療法人真徳会(沖縄県南城市)に医師紹介料の残額の支払いを求めた訴訟の判決で、那覇地裁(藤井秀樹裁判官)は9日、請求通り297万円の支払いを命じた。

 判決文によると、ABEは2022年2月、沖縄メディカル病院などを経営する真徳会に男性医師(92)を紹介。真徳会は採用面接を行い、介護施設長として年俸1千万円、1年間の雇用契約を交わした。

 しかし真徳会は試験的な勤務の段階で男性医師が「パソコンを使った電子カルテの入力ができず、手書き文字も判読が難しい」(代理人弁護士)状況が判明したとして、不採用を通知。ABEには紹介料の1割に当たる33万円を払った。

 藤井裁判官は真徳会が男性医師と雇用契約を正式に交わしたことで、紹介料全額を支払う義務が生じたと判断した。

 男性医師も一方的な契約解消だとして、真徳会に未払い賃金の支払いや地位確認を求めたが、藤井裁判官は見舞金50万円を受け取ったことなどを理由に請求を棄却した。

 真徳会側は控訴を検討するとした。

(資料写真)那覇地裁

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