クリケットバットで自己最高5戦連続マルチ 大谷を支える「フライボール革命」提唱者の正体

 日本時間9日のツインズ戦で3号ソロを放つ大谷(C)共同通信社

ドジャース・大谷翔平(29)が周囲の雑音をシャットアウトするかのように打ちまくっている。

日本時間9日のツインズ戦は3号ソロを含む今季初の猛打賞で、キャリアハイの5戦連続マルチ(複数安打)を記録した。 試合前、日米の報道陣に対応した大谷は「ここ数週間いろいろ(水原元通訳による違法賭博、不正送金)あったので、隣に誰かいるかどうかはだいぶ違うと思いますし、そういう意味では、いてくれてよかったなと思う時はあった」と、2月に結婚を発表した真美子夫人と愛犬デコピンが支えになったと明かした。

連日、水原元通訳による不正行為が米メディアを賑わせ、開幕から9試合連続本塁打なしの自己ワーストを更新した。苦境に立たされる中、愛妻と愛犬の存在が励みになったようだが、それ以上に大谷の復調の支えになったのは、ロバート・バン・スコヨック打撃コーチ(37)の助言だという。

デーブ・ロバーツ監督によれば、スコヨック・コーチは、8日のカブス戦が雨で中断した際、今永相手に2打席連続で凡退した大谷に、クリケットのバットを使った打撃練習をすすめた。この練習の狙いについて大谷は「クリケットのバットは平面になっているので、面で捉えていくというか(今までは)どちらかというと(バットの)返しが早い感じのスイングではあった。練習の一環としてやりました」と説明。試合再開後、今季初の三塁打に適時二塁打と早速、効果が現れただけに「きょうもやろうかな」と話すなど、クリケットバットをすっかり気に入ったようなのだ。

メジャーのコーチとしては若手の部類に入る同コーチはは2019年、32歳でド軍の打撃コーチに就任。クエスタ大学(カリフォルニア州)では野球部に所属していたが、プロ経験はない。大学卒業後は少年野球、大学野球などの指導者を歴任し、バッティングインストラクターのクレイグ・ウォーレンブロック氏とともに、後にメジャーを席巻した打球に角度をつけて打ち上げる「フライボール革命」を提唱。打撃革命のパイオニアとして名を馳せた。

これまで多くのメジャーリーガーを指導しており、昨季までド軍でプレーした18年の打点王J.D.マルティネス(現メッツ)、3年連続2ケタ本塁打をマークしているクリス・テイラーらの打撃フォームを改良した。

米放送関係者がこう言う。

「アマチュア、特に少年野球での指導経験が豊富なだけあって、論理的で分かりやすい指導だと、ドジャースの選手にも好評を得ている。若手野手だけでなく、ベッツ、フリーマンらMVP受賞経験者ですら、調子を崩すとスコヨック・コーチのフォームチェックを受けているほどです。大谷は開幕当初こそ打球に角度がつかず、苦しんだものの、フライボール革命の第1人者の助言が本塁打量産の契機になるかもしれません」

スコヨック・コーチは相手バッテリーの分析力にも長けているだけに、データを重視する大谷にとっては最適な人材といえそうだ。

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