事業規模を7倍に「住友林業」米フロリダで住宅事業を譲受

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建材の卸売りや住宅販売などを手がける住友林業<1911>は米国の子会社DRB Group(メリーランド州)を通じて、フロリダ州で戸建て分譲住宅事業を展開するBiscayne Homes(フロリダ州)の事業を譲り受けた。

2030年までに米国で年間2万3000戸の住宅供給を目標に掲げる長期ビジョン「Mission TREEING 2030」に沿った取り組みで、新たなM&Aなどにも取り組み、フロリダ州での供給戸数を現在の年間約700戸から7倍ほどの年間5000戸体制に拡大する。

同社は米国やオーストラリアなどの海外での住宅や不動産の事業が売上高の半分以上を占めており、今回の事業譲渡や今後のM&Aによっては、海外のウェートはさらに高まることになりそうだ。

10件中7件が米国などでの海外M&A

住友林業は2022年に戸建賃貸住宅の開発、管理事業を手がけるSouthern Impression Homesを子会社化しフロリダ州に進出。翌2023年にはDRBがフロリダ州中央部に位置する都市オーランドで支店を開設するなど、同州での事業を拡大してきた。

フロリダ州は人口が全米3位(2200万人、2022年)で、2022年の人口増加率は全米1位になっており、今後も人口増加と雇用拡大に基づく住宅需要増が期待できるという。

Biscayne Homesはフロリダ州の経済の中心地で、州内第2位の人口を持つタンパに本社を構える。同エリアを中心に戸建て住宅などを手がけており、年間に約120戸を販売している。

Biscayne Homes の事業を譲り受け、新設するDRBのタンパ支店として運営することで、同エリアでの事業基盤を一気に強化する計画だ。

住友林業が2010年以降に適時開示したM&Aは10件で、このうちの7件が米国とオーストラリアの企業を子会社化した案件となっている。フロリダ州での事業拡大が続く間は、この傾向が続くことが想定される。

黄色が米国とオーストラリアの企業を子会社化した案件

2030年12月期に経常利益を2500億円に

長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では、米国やオーストラリアなどで事業領域と規模の拡大に取り組み、2030年12月期に経常利益2500億円を目指す計画だ。

この長期ビジョン達成に向けた第1段階となるのが2024年12月期を最終年とする3カ年の中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase 1」。

同中期経営計画では住宅や不動産の海外事業のさらなる拡大、国内事業の収益力の回復、脱炭素に向けた資源環境事業への投資の三つに取り組むことで、2024年12月期に売上高1兆7700億円、経常利益1730億円を達成するとしている。

同社が2024年2月に発表した2023年12月期決算では、この目標数字を見直し、2024年12月期の売上高を2兆650億円(前年度比19.1%増)に引き上げた。一方、経常利益の方は目標を変えず、1730億円(同8.5%増)を据え置いている。

2030年に向けての出だしはM&Aも含めまずまずと言ってよさそうだ。

2024/12は予想。2020/12は決算期変更に伴う9カ月の変則決算

文:M&A Online

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