行政手続き 電子化推進 茨城県 市町村の研修支援

茨城県は住民票の写し交付請求や要介護認定の申請など行政手続きをオンラインで行える「いばらき電子申請・届出サービス」の利用推進に向け、市町村への支援を強化する。2023年度の利用件数はコロナ禍前の約5倍増に拡大した。ただ、行政手続きの電子化は市町村によって温度差があり、県は職員研修やシステムの改善を進め、さらなる利便性向上を図る。

県は本年度、コロナ禍で中断していた市町村担当職員の研修を再開する。デジタル人材の育成に向け、官民で構成する県高度情報化推進協議会の研修を活用するなどし、表計算ソフトの応用や組織的なIT導入に関する理解を促す。

いばらき電子申請・届出サービスの基本システムや画面デザインも改善し、新たな行政手続きの項目を追加する際、職員が直感的に操作できる仕組みを構築。今後、市町村に対する聞き取りを行い、システム改良を進めていく。

同サービスは、県民や事業者の利便性向上や行政事務の効率化を狙いに04年から開始。自宅や事業所などから24時間、申請や届出できるのが利点だ。

県は職員採用試験への応募や催しへの参加申し込み、行政文書の開示請求など、全925業務(20年12月時点)のうち電子申請を行える計915業務でオンライン化に対応している。

県情報システム課によると、催しのアンケート調査などを含めた23年度の利用件数は53万件を突破する見通しで、19年度の11万1153件から約5倍に増えた。特に22年度は、コロナ禍の影響で68万3273件まで急増している。

同課は「感染防止対策として非接触や非対面が促された結果、リモートワークなどが定着し、サービス利用につながったのではないか」と見ている。

国も行政手続きの電子化を進める。デジタル庁は水道使用開始届や保育施設の利用申し込み、要介護・要支援認定の申請、文化・スポーツ施設の利用予約など、59業務を「地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき手続き」として位置付けている。

ただ、59業務のうち県内の各市町村が電子化を進める割合は約65%。行政手続きの電子化は、自治体の取り組みごとに温度差が見られるのが実情だ。同課の担当者は「電子化は職員の業務効率化につながる。県民サービスの充実を図るため、各市町村への支援を強めたい」と話している。

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