アスク(山形)栽培のインド産はえぬき、機内食に 全日空の同国発ビジネスクラス、乗客から好評

アスクがインドで栽培、販売し、全日空の機内食に採用された谷藤米

 米穀類販売業のアスク(山形市、河合克行社長)がインドで栽培している本県主力品種の「はえぬき」が、全日空のインド発日本直行便ビジネスクラスの機内食に採用された。アスクの河合龍太常務東京支社長(47)、全日空の片桐常弥インド総代表(55)=天童市出身=が9日、オンラインで取材に応じ、両社にとって、コメの売り上げ拡大や機内サービス向上につながっていると説明した。

 対象路線はデリー―羽田便とムンバイ―成田便で、3月16日から和食のご飯として採用された。インドは食品の輸入規制が厳しく、インド発の便では日本産米を使うことが難しい。これまでは別の現地産米を使っていたが、味などで満足度が低かったという。

 アスクは日本米を必要とする現地飲食店などの需要に対応し、2014年からインドで試験栽培を開始。元県農業試験場長で同社技術顧問の谷藤雄二さんが栽培を指導し、「谷藤米」のブランドで販売している。現地子会社の代表も務める河合常務は1年ほど前に片桐総代表と知り合い、谷藤米を機内食に提案することを計画。コストや味では全日空側は合格点を付けたものの、着色粒が多かったことから一度は不採用となった。昨秋に現地精米工場の設備を増強して再挑戦し、正式採用が決まった。

 片桐総代表は、客から「コメがおいしくなった」「明らかに質が良くなった」という声が届いていることを紹介。「インド路線でより質の高いサービスを提供できるようになった」と手応えを語った。河合常務は「機内食採用を機に、品質への評価が高まり、インド国内での売り上げも増加した」と話す。現在の栽培面積は350ヘクタールだが「千ヘクタールくらいの市場はある」とし、同国での需要開拓にも力を入れる考えを示した。

採用の経緯などをオンラインで説明する(左から)全日空の片桐常弥インド総代表とアスクの河合龍太常務

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