【巨人】若手の芽を摘むことになっても筒香獲得に乗り出す複雑事情…主砲メジャー挑戦の点と線

巨人のドラ1最有力候補の青学大・西川史礁(C)日刊ゲンダイ

すでに既定路線だとされる米ジャイアンツを退団した筒香嘉智(32)の巨人入り。チームでは若手が台頭しつつあるだけにファンの間では賛否が分かれているし、巨人もそれは百も承知だ。しかし、巨人には筒香が欲しくてたまらない複雑な事情がある。(【前編】からつづく)

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阿部慎之助監督(45)就任1年目と球団創設90周年が重なる今季は、20年以来のリーグ優勝、12年以来の日本一奪回が至上命令。

それだけではない。主砲・岡本和真(27)が流出するという大きな危機感がある。球界関係者がこう明かす。

「表向きはひょうひょうとしている岡本ですが、オフの契約更改のたびにポスティングによるメジャー挑戦を直訴しています。球団はこれまで山口俊と菅野に認めた例があり、今季の成績次第では、早ければ今オフにもゴーサインが出るともっぱら。昨年2年ぶり3度目の本塁打王になり、もっか6年連続30本塁打を放っている絶対的主砲が流出するかもしれない。球団幹部の危機感は相当です。筒香の獲得は、その延長線上にある話でしょう。さらに、巨人はもう一人、岡本の後釜候補になり得るアマチュアの逸材にも熱視線を送っています」

今秋ドラフト1位候補の青学大・西川史礁(4年=龍谷大平安)だ。東都大学野球リーグが開幕した昨8日の神宮球場に、プロ球団のスカウトや関係者が集結する中、国学院大戦に「4番・中堅」で出場。先制適時打を含む2安打を放った。

侍ジャパンの井端監督も視察。プロ中心の3月の侍ジャパンの欧州代表戦に招集し、初戦で2安打を放った西川らをチェックするためだ。

西川は昨年、全日本大学選手権、明治神宮大会で本塁打を放ち、日米大学選手権では、全5試合で大学日本代表の4番を張り、チームトップの打率.316をマーク。「大舞台に強い男」として名前を売った。

「今秋のドラフト1番人気は現状、『天才遊撃手』の呼び声高い明大の宗山。ただ、巨人の正遊撃手には、宗山と同じく守備が武器で左打者の2年目・門脇がいる。宗山は10年に1人の逸材ですが、門脇とタイプがモロに重なる。岡本が流出した後、将来的に誰が4番を打つかの方が問題です。35歳の坂本が衰えることも想定すると、『右の長距離打者』が巨人の最重要補強ポイント。大学日本代表の4番が1位の最有力候補に浮上しているのです」(前出の球界関係者)

大黒柱・岡本のメジャー流出を見据え、筒香、西川という左右のダブル大砲取りで、今オフにも空く可能性のある大きすぎる穴を埋めるつもりである。

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