収穫祭の来場者が意識不明、学生ら救命リレー 迅速に気道確保や心臓マッサージ 兵庫・加西

人命救助に貢献した県立農業大学校の学生と教職員=北はりま消防組合加西消防署

 昨年11月、県立農業大学校(兵庫県加西市常吉町)の収穫祭に来場した70代男性が意識を失い転倒した。学生と教職員は連携して119番するとともに、心肺蘇生措置を施した。男性は既に退院し、以前のような日常生活を送っているという。人命救助に貢献したとして、北はりま消防組合加西消防署は、同校の学生と教職員計11人に感謝状を贈った。(敏蔭潤子)

 男性は収穫祭に妻と2人で訪れたが、体調が優れず椅子に座り休んでいた。帰ろうと歩き出したところ、あおむけに倒れたという。

 一部始終を見ていた学生2人が駆け寄った。1人は教職員を呼びに走り、もう1人がその間、自分が着ていたコートを男性の頭の下に敷いて容体を見守った。

 異変に気付いた他の学生の動きも早かった。ある学生は肥料袋を持ってきて男性の首の下に置き、気道を確保した。別の学生は約100メートル離れた学生寮に自動体外式除細動器(AED)があることを思い出し、取りに走った。

 連絡を受けた教職員は119番通報するとともに、AEDの指示に従って電気ショックや心臓マッサージを行った。同校職員の伊藤真由美さん(52)は、県広域防災センター(三木市)に勤務していたとき、防災教室で救命処置講習を見学して知識はあったが「実際にやったことはなかった」といい、緊張しながら男性の心臓を押した。小舟博文校長(60)は消防団員だった10~20年前に講習を受けており、伊藤さんと交代で心臓マッサージを続けた。

 約10分後、男性が「あっ」と声を発し、意識を回復した。救急車が到着すると、収穫祭の片付けをしていた学生らは急いでテントを移動させ、車の進入路を確保。男性は県ドクターヘリで医療機関に搬送された。

 感謝状は3月22日、同消防署で贈呈された。肥料袋で気道を確保した米口春希さん(20)は「男性が退院されたと聞いて、むちゃくちゃうれしい」と笑顔。救急車を誘導した森直人さん(20)は「たくさんの人が協力して素早くテントを移動させてくれた。農大生全員が力を合わせて命を救えた」と話していた。(所属は受賞時)

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