「長崎いのちの電話」今年で開局30年 佐世保に新たな拠点、相談員増へ

自殺予防に向けさまざまな悩みに寄り添う「いのちの電話」。相談者も相談員も匿名が原則=長崎市内

 自殺予防を目的に、電話での相談を受け付けている社会福祉法人「長崎いのちの電話」が、開局から今年で30年を迎える。相談員の減少で体制維持が困難となる中、今年は電話相談ボランティア養成講座と合わせ、佐世保市に新たな拠点を設け人員確保に力を入れる。
 長崎いのちの電話は1994年11月5日開局。年中無休で午前9時~午後10時に相談を受け付け、毎月10日と第1、3土曜日は24時間体制でさまざまな悩みに向き合っている。
 新型コロナ禍で相談体制を縮小した2021年度を除き、対応件数はここ数年1万件前後で推移。23年度は9296件で、うち自殺に関する内容は7.5%に当たる701件だった。
 一方、相談員の数は04年の118人をピークに減少。現在は87人が活動しているが、平均年齢は約65歳と高齢化しており、80歳代の相談員もいるという。さらに県北や島原などに住む相談員は長崎市の拠点まで通う必要があり、移動面がネックとなり活動を休止する人もいた。
 こうした状況を受け同法人は6月、佐世保市に「分室」を設置する予定。県北在住の相談員が活動しやすくすることで人員増につなげる。事務局は「『電話してもつながらない』と言われることが一番つらい。相談者のニーズに応えるため最低100人、できれば120人を確保したい」とする。
 養成講座は原則22~68歳が対象。座学中心の前期(24年6~9月)と、ロールプレイ中心の後期(10月~25年3月)で実施する。終了後は半年間の実習などを経て相談員として認定される。受講料は前期8千円、後期2万4千円。
 分室の設置を前に4月13日、佐世保市天満町の県北振興局天満庁舎で、無料の「傾聴基礎講座」を開催。柿田多佳子副理事長が活動内容や傾聴の重要性について話す。柿田副理事長は「良き隣人として声なき声を聞き、寄り添うことが相談員の役割。どんな活動をしているかまず知ってほしい」と参加を呼びかけた。
 養成講座や講演会の参加申し込みは同法人事務局(電095.843.4410)。

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