97歳現役医師「患者いる限り続けたい」 開業67年・鈴木岩男さん(青森市)

「患者がいる限り続けていきたい」と話す鈴木院長

 青森市に97歳の現役医師がいる。同市古川2丁目にある「岩男外科皮膚科医院」院長の鈴木岩男さん。開業から67年。今年3月に体調を崩して一時入院したが、元気になって診察を再開した。自身の体の衰えを感じているというが、「患者がいる限り続けていきたい」と話す。

 同市出身。父親が内科の開業医だった。「ほかにやる仕事がなくて、私も医者になった」という。東京医科大を卒業し、首都圏の病院で働いた後、30歳を過ぎて独立、1957年に同医院を開業した。

 同医院には看護師はおらず、注射を打つのは鈴木さん本人が担当する。3月上旬に肺の病を患い、2週間の入院が必要と診断されたが、わずか6日間で退院。体調を見ながら午前中のみの診察を続けてきたが、今月5日に午後の診察も再開した。この日は「先生の体調は大丈夫ですか?」と患者から逆に“問診”を受ける場面も。高齢に伴い耳が聞こえづらそうにしながらも、手際よく患者を診察していた。

 同医院と同じビルに住む奥崎寿恵子さん(81)は30代の頃から鈴木さんに診てもらっているといい、「腰が痛い時も、風邪をひいた時も、必ず鈴木先生に診てもらう。人柄も優しい。先生のおかげで元気に暮らせている」と全幅の信頼を寄せる。

 同医院スタッフの鳴海貞子さん(74)=同市=は「私も小学生の頃から診てもらっている。最近は患者さんも高齢になって減っているが、中には『先生の顔を見ただけで元気になる』という人もいる」と笑う。

 「67年はあっという間だった。今まで事故なくできて良かった」と鈴木さん。「患者との受け答えができなくなれば閉めようと思う。でも、できれば患者がいる限り続けていきたい」

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