記事一部提供の編集協力、本格運用へ 本社と共同通信社が契約

編集協力に関する契約を交わした山形新聞社の寒河江浩二会長・主筆(中央)と佐藤秀之社長(左)、共同通信社の小渕敏郎常務理事=山形市・山形メディアタワー

 山形新聞社は9日、共同通信社(東京、水谷亨社長)の配信記事などの一部の取材、執筆を受託する編集協力に関する契約を共同通信と結んだ。山形県内で土曜や日曜、祝日と平日夜間に発生した事件と事故のほか、平日昼間の行政と経済に関するニュースのうち、共同通信による加盟社への配信が必要と判断されるケースで、山形新聞が記事や写真を提供する。

 社会経済構造が激変する中、共同通信の組織スリム化と編集機能の維持が狙い。2社の取り組みは2022年9月、モデルケースの試行としてスタートし、山形新聞はこれまでに11本の記事や写真を提供した。今回の契約に基づき、今年5月7日から本格的に運用を始める。

 共同通信は提供を受けた記事や写真に、山形新聞のクレジットを付けて配信する。本格運用に移行するのは、秋田魁新報社(秋田市)に続き2例目。

 山形市の山形メディアタワーで締結式が行われた。あいさつで、山形新聞の寒河江浩二会長・主筆(山形新聞グループ経営会議議長)は「共同通信が将来にわたり通信社として役割を果たすため、編集の人的資源を再編成し、必要な分野に集中することが求められる。地方支社局の人員を絞らざるを得ず、そこに地方の加盟社が協力する」と趣旨を説明した。

 自身が共同通信理事時代、検討委員会の一員として、編集協力に関する議論を行ってきた経緯を紹介した。その上で「課題を浮き彫りにし、一つ一つ解決してきた。本格運用を迎え、感無量だ」と語った。

 共同通信の小渕敏郎常務理事は「構造改革は必要だが地方ニュースの配信力を低下させるわけにはいかず、地域に取材網を張り巡らせる加盟社の協力が欠かせない。山形新聞とスクラムを組めば、地域に根差した健全なジャーナリズムと民主主義の土台を守れる」と述べた。引き続き、山形新聞の佐藤秀之社長と小渕常務理事が契約書を確認した。

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