プッシー・ライオット創設者による自伝&"生き方の指南書"=『Read & Riot』の翻訳本! ナージャ・トロコンニコワ『読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門』(野中モモ・訳)が4月下旬発売!

ナージャ・トロコンニコワによる著作『読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門』が4月28日前後に株式会社ソウ・スウィート・パブリッシングより発売される。

親戚や友人は毒を盛られ、ロシア政府は私の死を望んでいる。それでも私はなにひとつ後悔していない──

本著は、ロシアのプロテスト・パンク・アート集団、プッシー・ライオットの創設メンバーであるナージャ・トロコンニコワが2018年に刊行した『Read & Riot』の翻訳本。 FIFAワールドカップ決勝戦への乱入や、母国ロシアでプーチン政権批判を示すためのゲリラ・ライブの敢行など、センセーショナルなパフォーマンスで知られるプッシー・ライオットの結成の経緯から獄中生活までを綴りながら、そうした体験の中から得た“実践的な知”を紹介する生き方の指南書(サバイバル・ガイド)とも言える充実の内容の一冊となっている(本書の予約はこちらから)。

『読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門』概要

カラフルな目出し帽。挑発的なライブパフォーマンス。FIFAワールドカップ決勝戦への乱入。結成時から現在に至るまで、常に世間の耳目を集めるロシアのフェミニスト・パンク集団、プッシー・ライオットとはいかなるグループなのか? なぜ結成されたのか? その真の目的とは? 創設メンバーのナージャ・トロコンニコワがその全貌を明らかにする。 本書『読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門』は、プッシー・ライオットの設立経緯から、彼女たちがロシア国内で行なった数々のアクション、さらにはロシア当局に逮捕されたのちの苛烈極まる獄中生活までを綴ったトロコンニコワの手記である。また同時に、著者がそうした体験のなかから得た“実践的な知”を10の基本原則として紹介する「生き方の指南書(サバイバル・ガイド)」でもある。 個人の権利と自由を抑圧する体制下において、私たちにできることとは? アクティビズムは社会においてどのような役割を持つのか? アートとアクティビズムはどう交差するのか? ハーバード大学やケンブリッジ大学で講演を行なうアクティビストで、アイ・ウェイウェイやジェニー・ホルツァー、ジュディ・シカゴらの系譜に連なるアーティストのトロコンニコワが、カントからニーナ・シモンあるいはウィトゲンシュタインからパンクの歌詞まで縦横無尽に引用しながら、そうした疑問の数々にユーモアたっぷりに答えていく。 装丁は坂本龍一やGotchらが主催したプロジェクト「D2021」をはじめ、小林うてなやermhoiのビジュアルを手がけるグラフィックデザイナーの山中アツシが担当した。 トロコンニコワは現在、2024年6月に開催されるオーストリアのリンツにあるOK Center for Contemporary Artでの、美術館では初となる個展の準備を進めるほか、米STXエンターテインメントとともに実体験に基づいたドラマの制作に当たっている。 “どうしてプーチンのロシアは、私を刑務所送りにしたのだろう? 私は当時、無一文の22歳で、3歳の女の子の若い母親だった。家父長制の世界に生きる女性アーティストで、ディオゲネスと行動の哲学とクィアのアイデンティティについての卒論を書いている学生だった──”(本書より)

▲本書より(クリックすると拡大します)

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本書へのコメント

私たちはナージャに出会えて、幸運だ。

──キム・ゴードン(ミュージシャン)

ナージャは彼女の存在すべてをもって真の反骨精神を体現している。

──オリヴィア・ワイルド(『ブックスマート』監督、俳優)

プーチンが最も憎んだバンドPussy Riotの創設メンバーによる、回顧録と行動指針の騒々しい融合

──カーカス・レビュー

3分でわかるプッシー・ライオット小史

2011年に哲学やジャーナリズムを専攻する学生たちを中心に結成された、ロシアのモスクワを拠点とするフェミニスト・パンク・アート集団。屋外でのパフォーマンスを通じて、ロシアの家父長制社会に異を唱え、ジェンダーの流動性や笑い、分散化や反権威主義を支持する。 2012年、再選(第3期目)したプーチン大統領とロシア正教会への抗議活動として、モスクワの大聖堂で手づくりの目出し帽を身に纏い、反プーチン政権の曲をゲリラ演奏。メンバーの3人が逮捕され、のちに2人(ナージャ・トロコンニコワ、マリヤ・アリョーヒナ)には禁錮2年の判決が下された。 彼女たちの解放を求め、オノ・ヨーコ、パティ・スミス、レディオヘッドなど100名を超える著名ミュージシャンがグループの支持を表明した(2人は2013年に釈放)。 2014年、トロコンニコワとアリョーヒナが創立メンバーとなり、ロシア国内の汚職、裁判、刑務所での問題を報じる独立系通信社「メディアゾーナ」を設立(現在は英ガーディアンズ紙と提携)。 2018年、フランスとクロアチアによるサッカー・ワールドカップの決勝戦に、警察官の格好に扮したメンバー4人が、ロシアの政治的現状に注目を集めるためピッチに乱入した。 2022年、トロコンニコワがウクライナ支援のため、NFTアート収集集団「ユニコーンDAO」を立ち上げ。わずか5日間で約8億円の資金を調達し、非営利団体に寄付した。 2023年、マリヤ・アリョーヒナが監修した『ベルベットのテロリズム:プッシー・ライオットのロシア』展が、デンマークのルイジアナ近代美術館を皮切りに巡回開始。

<著者略歴>

ナージャ・トロコンニコワ(Nadya Tolokonnikova) アーティスト、アクティビスト。国際的フェミニスト・プロテスト・アート集団プッシー・ライオットの創立メンバー。2012年、モスクワの救世主ハリストス大聖堂でプーチン大統領とロシア正教会を批判するゲリラ・パフォーマンスを敢行。有罪判決を受け2年にわたって収監された。釈放後は囚人の権利のための非政府組織「ゾーナ・プラヴァ」と独立系通信社「メディアゾーナ」を設立。2022年にはNFTアート収集集団ユニコーンDAOを立ち上げ、ウクライナのために700万ドル以上を集めた。レノン・オノ平和賞およびハンナ・アーレント政治思想賞を受賞。現在では数百人の人々が自らをプッシー・ライオット・コミュニティの一員であると認識している。プッシー・ライオットは、ジェンダーの流動性、包摂性、母権制、愛、笑い、分散化、アナーキー、反権威主義を支持する。ロシア連邦シベリア連邦管区ノリリスク生まれ。 <訳者略歴>

野中モモ 東京生まれ。翻訳者、ライター。訳書に『音楽のはたらき』(デヴィッド・バーン、イースト・プレス)、『GIRL IN A BAND キム・ゴードン自伝』(キム・ゴードン、DU BOOKS)、『女パンクの逆襲―フェミニスト音楽史』(ヴィヴィエン・ゴールドマン、Pヴァイン)、『世界を変えた50人の女性科学者たち』(レイチェル・イグノトフスキー、創元社)などがある。著書に『野中モモの「ZINE」 小さなわたしのメディアを作る』(晶文社)『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』(ちくま新書)など。

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