「ぼーっとする時間」と「毎日25分の散歩」が人生の成功をもたらす? 時間の質を上げる5つの習慣

イメージ画像:想像以上に散歩は人生に影響を与える

時間の使い方が人生の成功を左右する」と言われるように、限られた人生の時間をいかに有効活用するかは、幸福で充実した人生を送るための重要な鍵となります。しかし多くの人は時間管理に悩み、効率的な時間の使い方ができずにいるのが現状です。

そこで今回の記事では、ベストセラー作家である橘玲氏の著書『シンプルで合理的な人生設計』を参考に、合理的な時間の使い方について解説します。

ぼーっとする時間の重要性」や「散歩の習慣化」など、すぐに実践できる具体的なテクニックを紹介しながら、合理的な人生設計のポイントに迫ります。

目次

成功の新しい定義

本書が定義する成功とは「望むもの全てを手に入れることではなく、自らの時間を自由にコントロールし、充実した生活を送ること」になります。

これを実現するためには、人生の土台を合理的に設計する必要があります。

では、具体的にどうすればいいのでしょうか?

人生における「3つの制約」

人生には避けて通れない3つの制約があります。

物理的制約:私たちは物理法則に従う必要があり、例えば空を飛ぶことはできません。この制約は、私たちが地球上の生き物として持つ基本的な限界を表しています。

資源的制約:とくに時間は、どれだけ富を持っていても増やすことができない貴重な資源です。1日は誰にとっても24時間であり、この限られた時間をいかに有効に使うかが鍵となります。

社会的制約:私たちは社会の一員として他者との関係性の中で生きていきます。例えば、大金持ちであっても社会のルールや他人の評価を無視することはできず、それが社会的制約となります。

これらの制約を理解し、それらと上手に付き合いながら、自らの人生をデザインしていくことが大切です。

物理的制約とは戦わず、資源的制約の中で最大の価値を生み出し、社会的制約を受けながらも、自分らしさを保ちながら生きていく知恵が求められます。

合理的な時間の使い方(5つのキーポイント)

イメージ画像:ぼーっとする時間が新しいアイデアをもたらす

1. 睡眠時間の確保

睡眠の重要性はあまり説明する必要がないと思います。良質な睡眠は、日中のパフォーマンスを向上させ、創造性を高めることが科学的に証明されています。

近年の研究によると、十分な睡眠を取ることで、記憶力や学習能力が向上し、ストレスの軽減にもつながることがわかっています。成功への道を歩む上で、睡眠は最も重要な土台となります。

2. 毎日25分のウォーキング(散歩)

毎日25分の散歩は、心臓病や糖尿病のリスクを低減し、精神的な幸福度を高めることが研究で示されています。

また散歩は創造的思考を刺激し、新しいアイデアの生成を促すことも知られています。この簡単な習慣が、長期的な健康と幸福に大きく貢献します。

さらに、毎日の散歩が長期的な健康の維持に貢献することは、時間のリターンとしても考えられます。

アメリカの国立がん研究所は「毎日25分の散歩する人は、しない人よりも4年ほど長生きできる」と発表。またケンブリッジ大学の研究によると「健康リスクを3分の2に下げることができる」としています。

上記の研究結果に基づいて簡単な計算をすると、毎日の散歩によって、1年間で約182.5時間の活動時間が増えると考えられます。

つまり、1日当たり約30分の追加時間を生み出すことができるのです。この追加時間によって、個人的な自由活動に充てることができます。

このように、毎日の散歩はただ健康を保つだけでなく、長期的には「時間の利益」をもたらし、生活の質を向上させる貴重な習慣です。

3. ぼーっとする時間

「何もしない時間」を意識的に設けることで、脳は情報を整理し、新しいアイデアを生み出す機会を得ます。この時間は、デフォルトモードネットワークの活性化と密接に関連しています。

デフォルトモードネットワークとは、脳の特定の領域が互いに高度に連携する活動パターンであり、私たちが意識的に注意を払わない時、つまりリラックスしていたり、ぼんやりとしている時に活性化します。

近年の研究によると、デフォルトモードネットワークは創造性の源泉でもあり、アイデアや解決策を無意識のうちに結び付けることを可能にします。

デフォルトモードネットワークの活性化は、労働の効率化や労働時間の短縮につながるのです。ぼんやりとした時間を過ごすことが、意外にも生産的であることが分かっています。

4. 人間関係の見直し

時間とエネルギーを奪う人間関係から距離を置くことで、ストレスを減らし、幸福度を高めることができます。

ロビン・ダンバー教授は、「人間の認知的上限は150人とされており、この数を超える人間関係を維持することは難しい」と主張しています。「ダンバーの数」として知られるこの理論は、私たちが本質的に深いつながりを持てる人の数には限りがあり、それを超えると人間関係の質が低下することを示唆しています。

つまり、私たちの時間とエネルギーは有限であり、どの人間関係に投資するかを慎重に選択する必要があります。ポジティブな影響を与える人々との関係を大切にしつつも数は制限し、ストレスの多い人間関係は思い切って放棄する勇気が必要です。

イメージ画像:人間が管理できる人間関係は150人と意外にも少ない

5. タイムマネジメントの放棄

綿密なスケジュール管理と時間に追われる生活からの脱却は、ストレスの大幅な軽減につながります。
イギリスのジャーナリスト、オリバー・バークマンによると、時間に対する柔軟な姿勢は幸福度を高め、クリエイティブな問題解決を促すことが示されています。本当に価値のあることにフォーカスし、時間を自分のために使うことの重要性を認識する必要があります。

このプロセスの中心には「トライ・アンド・エラーを繰り返す」ことがあります。新しい活動や異なる時間の使い方を試みることによって、何が自分にとって意味があるか、または満足をもたらすかを発見することになります。

「トライ・アンド・エラー」の経験を通じて、自身の生活の中で最も価値あるものを見つけ出すことが可能になります。あまり充実感を感じなかった活動は次第に減らしていくことも重要です。このようにトライ・アンド・エラーを繰り返すことで、自分自身にとって「時間の質」を最大化する方法を見つけ出すことができます。

このアプローチは、時間を「管理」しようとするのではなく、時間を「経験」することに重点を置きます。時間をより意味のあるものに変えるために、柔軟性を持ち、積極的に新しいことにチャレンジすることが重要です。

トライ・アンド・エラーを通じて、真に情熱を感じる活動や、真の幸福に直結するものを発見することが、本当の意味で合理的な時間の使い方になります。

自由を手に入れる合理的な人生設計

・睡眠時間の確保と散歩を習慣化すること
・「ぼーっとする時間」を設けること
・人間関係をできる限り縮小すること
・タイムマネジメントにとらわれず、トライ・アンド・エラーを繰り返し、自分にとって価値のあるものを見つけること

限られた人生の時間を上手に使うことは、幸福で充実した人生を送るための重要な鍵となります。今回ご紹介した「合理的な時間の使い方」を参考に、ぜひ自分なりの時間の使い方を見つけてみてください。

参考文献:橘玲(2023)「シンプルで合理的な人生設計」ダイヤモンド社

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