大洪水でロシアとカザフ10万人超避難、石油生産地域で非常事態宣言

[オルスク(ロシア南西部) 9日 ロイター] - ロシアとカザフスタンの国境周辺地域などで大規模洪水が発生した。急激な雪解けに伴ってウラル川など大きな河川で氾濫が相次いで発生したためで、当局は計10万人以上の住民に避難を命じた。5日には欧州で3番目に長いウラル川のダムが決壊していた。

この地域の洪水としては少なくとも70年ぶりの大規模災害となる。避難民のうち8万6000人余りがカザフ住民で、ロシアのプーチン大統領はカザフのトカエフ大統領と電話会談し対応を協議した。

ウラル川やトボル川などの水位上昇は速く、数時間で史上最高に達して流域都市のオレンブルクやオルスク、クルガンなど多くが浸水被害に遭った。

イルティシュ川の支流であるトボル川沿いの都市クルガンでは、緊急避難が警告された。地域当局によると、洪水はさらに3日間拡大し、今月末まで「困難な状況」が続く見通しだ。

また、西シベリアのチュメニでも非常事態が宣言された。原油や天然ガスの埋蔵量が豊富な「炭化水素盆地」として世界最大で、ロシアの主要石油生産地でもある。ロシアの複数メディアはクレンコフ非常事態相が洪水危険を状況把握する一環として現地入りしたと報じた。

ペスコフ大統領報道官は記者団に「水が大量に押し寄せてくる。クルガンとチュメニ地域は依然厳しい状況が続く」と話した。

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