「こども110番の家」が減少傾向 「マンションだから入ってこられない」子どもとの接し方の変化も課題に

テレビ愛知

登下校中の子どもたちが身の危険を感じたとき、警察署以外でも頼れる場所である「こども110番の家」。2019年には約1万8400軒の登録がありましたが、2023年は1万6600軒と4年前と比べて約1800軒減っています。こども110番の家が減ってきていることについて、街の人に聞きました。

【こども110番の家の役割】
●犯罪等の被害に遭い、または遭いそうになって救助を求めてきたこども等の保護
●事件、事故の発生を認知したときの110番通報、学校、家庭への連絡
●日常生活の中で、子どもたちが被害に遭いそうな危険な箇所等を発見した場合の連絡

「ないと心配」「オートロックだから入ってこられない」

子どもが犯罪に巻き込まれないという抑止効果につながる

小学1年生とその保護者の親子は――。

――こども110番の家、聞いたことある?

小学1年生:
「うん、それはあるよ」

――どこにあるか分かる?

小学1年生:
「うーん。ファミリーマートとか?」

しかし家の周りでは――。

保護者:
「見ない。今まで送り迎えしていたので、不安です。1人で(学校に)行かせるのであったほうがいいです」

小学4年生とその保護者は「ないと心配」と話します。さらに以前と変化を実感している人もいました。

50代女性:
「以前はあるなと思ったけど、最近はそんなに……。住宅街だからあまりお店がないから、あったほうがいいよね。子どもが何かあった時にパッと入れる家、だったら(自分の家でも)やってもいいかなって」

こども110番の家を担ってもいいという声があった一方で、インタビューした人の多くは「マンションで、オートロックだから入ってこられない」といいます。

「やっている意味が見いだせない」という人も

安全インンストラクター 武田信彦さん

子どもの防犯について詳しい武田信彦さんに話を聞きました。自らも自宅でこども110番の家を担っている武田さん。こども110番の家が減少している現状について、“個人宅”に着目しています。

安全インンストラクター 武田信彦さん:
「戸建てが減少してマンションやアパートに建て替わると、子どもが入りにくくなってしまいます。また『長年やっていたが、やっている意味が見いだせない』という人も多くいます」

武田さんはこども110番の家のプレートがあるだけで、子どもが犯罪に巻き込まれないという抑止効果につながると訴えますが、そう感じていない人も多いと指摘します。

地域の子どもへの関わり方の難しさも

こども110番の家

「こども110番の家は貼りっぱなしで、その後、研修やフォローアップがないことが多いです。付けていることによって、どれだけ(自分が)地域に貢献されているかが分かりにくい状態ではないかと思います。

『子どもに駆け込まれたら110番してください』だけ伝えてしまったら、そこだけを評価して、『駆け込まれないからやめたい』という方も出てきます」

また、地域の子どもへの関わり方の難しさもなり手不足の要因の1つではないかと指摘します。

武田さん:
「今、子どもたちとあいさつやコミュニケーションをしにくいということも、防犯ボランティアの皆さんからよく言われています。少し前なら、食べ物や飲み物をあげても許されるような感じがありました。今でも食べ物や飲み物、あめをあげる方も多くいますが、実際はしてはいけません」

「動くこども110番」を提唱

見守りの目を増やす1つの方法「動くこども110番」

こども110番の家が減少する現状を受け、武田さんが新しいこども110番の家のあり方を提唱しています。

「『動くこども110番の家』という形で、配達事業者の方や運送関係の事業者の方、タクシーなどの車両を使って地域を回ってもらえる方、バイクや自転車、車両を使って、地域を回る人たちに(子ども)を見てもらうのも良いと思います。見守りの目を増やす1つの大きな方法になります」

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