三菱地所設計、空飛ぶクルマのデザインを提案。都市×建築×次世代エアモビリティからなる一連の運用システムを目指す

「未来のモビリティの仕組み」から「未来のまちの仕組み」「建築のすがた」の提案へ

本提案では、建築設計事務所からのアプローチとしてeVTOLそのものの姿を描くだけでなく、「進化したモビリティがインストールされた未来のまちのあり方」を追求している。

「SMS:Seamless Mobility System」として提唱した新しい移動のあり方をさらに発展させるものとして、都市における移動の利便性を一層向上させ、都市空間を、より可変的で、自由に使えるものにしていくための構想であるとともに、ここで提案するeVTOLを介して、人やモノがビルの屋上や中間階に直にアクセスできるようになることで、ビルという建物のタイポロジー(建築の型)に大きな変革をもたらすという。

一連の構想を現代の都市・建築の多様な課題に応える当社の提案に導入・展開していくとしている。

シームレスな移動を可能とするモビリティ「Passenger VTOL」

三菱地所設計が提案するeVTOL「Passenger VTOL」は、プロペラ・キャビン・走行の3つのユニットから構成される、4人乗りの全自動操縦型電動式のモジュラー型モビリティシステムだ。

バーティポートと一体的に機能し、ポートからポートの空中だけでなく、空中と地上の「間」の移動をも、シームレスにつなぎ合わせます。こうしたデザインの独自性が認められ、このたび欧州における意匠権を取得した。

各ユニット・パーツが着脱できる、3Dプリンタを用いたモデル作成(縮尺1/12)を行ってデザインの検証を行っている。

空中と地上の移動をつなぎあわせる「ビル」の姿とは

eVTOLの登場で、従来までの地上のエントランスに加え、「新たな玄関」となるのがビルの屋上や中間階だ。ここは「Passenger VTOL」の離発着のためのバーティポートとなり、旅客乗降、荷物の積み下ろし、「Passenger VTOL」のモード転換などが行われる。ビル外壁面には、人を乗せたままで「Passenger VTOL」を地上との間で昇降させる機構が設けられる。

これによって、都市における新たな物流・人流の拠点としての役割を、ビルに与えることができるという。

バーティポートが設けられたビルのイメージ

  • ❶ 上空を飛行する「Passenger VTOL」。
  • ❷ シームレスな離発着を可能とする、プロペラユニットを装着するパーゴラ屋根。
  • ❸ プロペラユニットを切り離し、屋上を移動する走行モードの「Passenger VTOL」。
  • ❹ 新たなビルのエントランスとなった屋上階には、ロビーをはじめとする利用者待合スペースとしての機能が設けられます。
  • ❺ 屋上と地上との間で、エレベータのゴンドラのように「Passenger VTOL」を昇降させる搬送システム。各階への着床も可能な、外壁部に設けられる新たなビルの建築要素。
  • ❻ 地上に降りた「Passenger VTOL」は、そのまま都市内を移動していきます。

人とモノの流れを生み出すバーティポート

  • ❶ パーゴラ屋根。フレーム内のガラス面では高効率の太陽光発電を行うことも想定。懸架された「Passenger VTOL」プロペラユニットが充電されています。
  • ❷ エレベータでせり上げられたキャビンユニットは、プロペラユニットと合体し、飛行モードへと切り替わります。
  • ❸ 充電中の走行ユニット。バーティポートに到着した飛行モードの「Passenger VTOL」は、走行ユニット上に着陸・ドッキングし、自走できるようになります。
  • ❹ 「Passenger VTOL」は、物流の仕組みとして展開させることも可能。さまざまなモビリティを組み合わせた一連のシステムで、ビルは都市の新たな物流の拠点となります。

「新たな都市のあり方」の提案への展開

本提案における「Passenger VTOL」とバーティポートの一連の構想は、そのコンセプトムービーなどに登場している。

▶︎三菱地所設計

© 株式会社プロニュース