宇多田ヒカルの曲で人気のCMソングは?

デビュー以来、国内で数々の金字塔を打ち立て、海外でも影響を及ぼしている、“ヒッキー”こと宇多田ヒカル。4月10日(水)にデビュー25周年を記念したキャリア初となるベスト・アルバム『SCIENCE FICTION』(写真)をリリース。これまでに『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1』『同 VOL.2』とシングル・コレクションはありましたが、レーベルを越えた2社合同のリリースの文字どおりのベスト・アルバムということで、昨年12月の本作発表時から大いに話題を集めてきました。

その宇多田ヒカルの楽曲は、ドラマや映画、CM、ゲーム、キャンペーンなどに数多くの楽曲が使われ、多くの人が耳にしてきたことでしょう。ここでは、そのなかでもCMソングに起用された“ヒッキー”ソングをいくつか紹介したいと思います。

まずは、日産「テラノ」のCMソングに起用された「Movin' on without you」。1999年に2ndシングルとしてリリースされ、疾走感と推進力にあふれるサウンドはスポーティなSUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)「テラノ」のイメージにフィットしていました。自動車のCMとしては、トヨタ「ウィッシュ」のCMに使われた「COLORS」もあります。四季を感じさせるドラマティックなイントロに耳が惹かれるこの曲は、2003年に12枚目のシングルとしてリリースされました。

NTTドコモのCMには「FINAL DISTANCE」「traveling」「Letters」が起用されました。なかでも、2001年にリリースの9枚目のシングル「traveling」は、『平家物語』の一節を引用した詞世界や、行進する姿が愛らしい、CGを駆使したファンタジックなミュージック・ビデオが話題を集め、ライヴでもヴォルテージが上がる曲として人気を博しています。

自身の名前をタイトルに冠した「光」は、アサヒ飲料「三ツ矢サイダーキングダムハーツデザイン」CMソングに起用。同曲はゲーム『KINGDOM HEARTS』エンディング・テーマでもありますが、以降も『KINGDOM HEARTS』シリーズのテーマ・ソングには、多くの宇多田ソングスが用いられています。任天堂「ニンテンドーDS」CMソングでは「Easy Breezy」を起用。宇多田が“Utada”名義でリリースしたアルバム『Exodus』からの1stシングルで、全編英語詞となっています。

美容系としては、「Stay Gold」が花王「アジエンス」のCMに、「Find Love」が資生堂「POWER IS YOU」キャンペーン・ソングに起用されました。「Stay Gold」は「HEART STATION」との両A面シングルとして2008年にリリース。「Find Love」は2022年にリリースされた8枚目のスタジオ・アルバム『BADモード』に収録され、小袋成彬とトラックを共同制作したことも話題となりました。

飲食関連のCMに使われることも多く、日清「カップヌードル FREEDOM-PROJECT」のCMでは「This Is Love」「Kiss & Cry」が使われました。サントリー「ペプシネックス」のCMでは、「Hymne à l'amour ~愛のアンセム~」や「Can't Wait 'Til Christmas」を使用。「Hymne à l'amour ~愛のアンセム~」は仏シャンソン歌手のエディット・ピアフのカヴァーで、日本では「愛の讃歌」のタイトルで知られています。

近年ではサントリー「南アルプススパークリング」「天然水スパークリングレモン」「サントリー天然水」のCMシリーズで使われることも多く、宇多田自身もCMに出演。「Play A Love Song」「道」「大空で抱きしめて」「誰にも言わない」がCMを彩りました。

2024年4月からは日本コカ・コーラ「綾鷹」のCMソングとして「traveling」が採用されています。このCMでは、前述のオリジナル「traveling」を再レコーディングした「traveling(Re-Recording)」が使われています。

いくつかCMソングを辿っただけでも、その名曲の豊富さに驚かされます。ベスト・アルバム『SCIENCE FICTION』には上に挙げた楽曲もいくつか収録されていますので(再録及びミックスを施しています)、あらためて“ヒッキーソングス”を堪能するにふさわしい一枚となっています。

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