【瞬間】富士山で土石流「スラッシュ雪崩」発生 引き起こした原因は…“春の嵐”? 天達武史キャスター解説

2024年4月9日午前8時20分ごろ、富士山西側の斜面に設置された監視カメラが捉えたのは、すさまじい勢いで流れ落ちる土石流。

【写真】富士山「スラッシュ雪崩」を解説

土石流は「大沢崩れ」と呼ばれる谷の、標高約2100mの地点で観測されました。

土石流は、標高1500m付近に設置された別の監視カメラにも…。

この土石流について、国土交通省・富士砂防事務所の土屋郁夫副所長に聞きました。

国交省・富士砂防事務所 土屋郁夫副所長:
今回のスラッシュ雪崩につきましては、かなり破壊力はあるかと思います。

「スラッシュ雪崩」とは、大量の水を含んだ雪が途中で土砂を巻き込みながら流れ落ちる現象。

今回、人や家屋への被害は確認されていませんが、川の水位を測るための鉄塔の一部が損傷したということです。

「スラッシュ雪崩」“春の嵐”が影響か

では、この「スラッシュ雪崩」。いったい何が原因で起きるのでしょうか?

国交省・富士砂防事務所 土屋郁夫副所長:
富士山は3月から5月にかけてまだ山頂に雪が残ってるところがありますので、そういった時に気温が上昇して暖かくなって、まとまった雨が降ると雪に雨が染みこんで水分の多い雪崩が発生して、その雪崩が土砂を巻き込んで融解します。

「スラッシュ雪崩」を引き起こす一因だというまとまった雨。実際、9日は、低気圧や前線の影響で、各地で「春の嵐」となりました。

「めざまし8」のスタジオでは、天達武史気象防災キャスターが解説しました。

天達武史気象防災キャスター:普通の雪崩とは違って、雪がとけているわけではなくて、雪に大量の水分が含まれているんですよ。つまり、きのう(9日)は富士山の山頂付近でも雪じゃなくて大雨が降った。春の嵐だった。これが雪にたくさんとけ込んで、流れ出してくる間に土砂も巻き込んで。いわゆる土石流タイプの雪崩が発生したんです。
スラッシュ雪崩というのは、事故も起きたりしていますので、非常に高速で危険な雪崩なんです。

――今回は人命に関わるような被害はなかったということですが…
天達武史気象防災キャスター:発生する場所ですよね。今回の場合、標高が2000m以上のところなので、人が住んでいるような場所ではないです。あまり人が行くような場所ではない。
美しい富士山の西側をよく見ると、大きな傷があるんですよ。はっきりとはわかっていないのですが、今から2000年以上前に大きく噴火が何回も繰り返されていた。その影響で大きな谷筋が西側にできていると言われています。この土砂が、大雪が降った後に大雨が降ったりすると、ここ(大沢崩れ)をガーッと土石流が流れると。

天達武史気象防災キャスター:
この「大沢崩れ」の辺りでスラッシュ雪崩が起きて(大量の土砂が)流れ出してくるわけですが…その先には、土砂をせき止める「大沢川遊砂地」という施設が作られています。土砂などがふもとまで流れ出ないようにしているんです。

(『めざまし8』 2024年4月10日放送より)

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