次なる銀行破綻からスイスを守るには

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クレディ・スイス(CS)が昨年3月、ライバル行UBSに緊急買収される命運を辿ったことは、スイスにとって頭痛の種となっている。 買収劇は、スイスの大手銀行が破綻し収拾がつかなくなる事態を防ぐための法制度が欠けている実態を露わにした。同時にバランスシートがスイス国内総生産(GDP)の2倍に及ぶ独占的な巨大銀行の誕生を許した。 swissinfo.chは銀行危機から国を守るためにスイスがどのような安全網を講じるべきか、3人の専門家に話を聞いた。 ※SWI swissinfo.chでは配信した記事を定期的にメールでお届けするニュースレターを発行しています。政治・経済・文化などの分野別や、「今週のトップ記事」のまとめなど、ご関心に応じてご購読いただけます。登録(無料)はこちらから。 連邦政府・議会は、金融システムの安定性を高めるための規制改革を行うよう求められている。 スイス最大の経済団体「エコノミー・スイス」の首席エコノミスト、ルドルフ・ミンシュ氏は立法府に対し、銀行を微細に管理したり、保険会社など他の金融主体を制限したりする新たな規制作りに傾くべきではないと警告する。 中央党の政治家ペーター・ヘグリン氏は、スイス経済全体の潜在的な大惨事を防ぐためにはスイス最大手の銀行を手なずける必要があるとの意見を持っている。 スイスの経済規模は大銀行の破綻に対処するには小さすぎる、とヘグリン氏は主張する。 スイス経済政策研究所の研究員アドリエル・ジョスト氏は、銀行に対し、業務の進め方を変えることで責任を負うよう呼び掛ける。 銀行を他のセクターの企業と同様に扱う現在の傾向は、金融システム特有の複雑さを理解できていない、とジョスト氏は言う。 英語からの翻訳:ムートゥ朋子、校正:宇田薫

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