福井県内で強制不妊手術の75人は大半が20~30代女性 1996年まで続いた旧優生保護法下で

福井県内の優生手術件数

 旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らに不妊手術が強制された問題を巡り、福井県内で手術を受けた75人のうち、20~30代が94.7%を占めることが、福井新聞の調べで分かった。手術を受けたのはほとんどが女性で、被害者の救済法に基づく一時金320万円の支給認定を受けたのは4人(4月9日時点)。

 旧優生保護法の4条と12条は、本人に知的障害や精神疾患などがある場合、手術が必要と判断した医師が都道府県の審査会に申請し、決定を受ければ、本人同意がない強制手術を認めていた。

 県衛生統計年報には「優生手術」という項目で、手術を受けた人数が毎年、該当条項、年齢階層、性別ごとに記載されている。

 年報によると、本人の同意を不要としている4、12条に基づく手術を受けたのは36人、同意が前提の3条に該当するのは39人だった。75人のうち女性は73人。

 年齢別では20代が35人、30代が36人、40代が3人、不詳1人だった。20~30代が9割以上を占めた。国に損害賠償を求めて裁判を行っている福井県出身で大阪府在住の70代女性は、この中に含まれるとみられる。

 年報によると、手術は51年から記録が残っており、最も多いのは62年の18人(いずれも4条)。次いで94、95年の各10人(いずれも3条)、51年の9人(いずれも3条)が続く。

 ただ、年報に統計資料の記載がないケースも複数あり、実際に県内で手術を受けた人数はさらに多いとみられる。

連載 法の下の強制不妊~福井・声を上げる障害者

 強制不妊問題に関する国会の調査報告書では、全国で2万4993人に対し手術が行われた。福井県出身の被害者の証言を通し、法の下で何が行われてきたのか、実態に迫る。

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