「特別な思い出さ」トンプソンがジャクソン前HCに感謝「もしマークじゃなかったら、絶対に今のようにはなっていなかった」<DUNKSHOOT>

4月8日(日本時間9日)、ゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンのポッドキャスト番組『The Draymond Green Show』の最新エピソードが公開され、同僚のクレイ・トンプソンがゲスト出演した。

ウォリアーズはステフィン・カリーが09年ドラフト1巡目7位、トンプソンが11年ドラフト1巡目11位、グリーンが12年ドラフト2巡目35位入団し、14-15シーズンにスティーブ・カーのHC(ヘッドコーチ)就任。このビッグ3を中心に2015、17、18、22年に頂点に立ち、2010年代のNBAで最も成功を収めたチームとなった。

もっとも、現体制のウォリアーズが初めてプレーオフに出場したのは2013年で、当時はマーク・ジャクソンが指揮を執っていた。現役時代にNBA歴代6位の通算1万334アシストを記録した司令塔は、2011-12シーズンに指揮官へ就任。

1年目こそウエスタン・カンファレンス13位の23勝43敗(勝率34.8%)に終わるも、翌12-13シーズンにウエスト6位の47勝35敗(勝率57.3%)、13-14シーズンも同6位の51勝31敗(勝率62.2%)を残し、2年連続でプレーオフへ導いた。

ジャクソンの下でトンプソンはルーキーシーズン途中に先発に定着、グリーンも初年度からローテーション入りしていた。

若手選手に自信を植え付けるジャクソンの能力について、トンプソンは「自分にとってものすごく大きかった」と語れば、グリーンも「彼の持つ強みのひとつだ」と称えていた。

ウォリアーズは13年にカンファレンス・セミファイナル進出したものの、翌14年は1回戦敗退でジャクソンは解任。結果的に彼の後を引き継いだカーHCの下でチームは王朝を築いたが、トンプソンはこう回想する。
「なんだか奇妙で、どうも腑に落ちなかったよ。だってマークがいなかったら、(チームの)未来に起こることの土台がなかったんだからね。特にディフェンス面だ。マークの下、僕らはディフェンス面で2年続けて上位に入っていた」

トンプソンが話したように、ウォリアーズのディフェンシブ・レーティングは12-13シーズンにリーグ12位の104.2、翌13-14シーズンには同3位の101.4とジャクソン体制下で目覚ましく上昇していた。

また、ジャクソンはカリーとトンプソンが持つ特別なシュート力を早くから見抜いていた。3ポイント乱発は当時“タブー”だったが、両選手を先発バックコートに据えてシュート力を最大限に生かす体制にしたことで“スプラッシュ・ブラザーズ”が誕生。

ジャクソンはフロントと良好な関係を築くことができずに退団したが、トンプソンは「もしマークじゃなかったら、絶対に今のようにはなっていなかっただろう。彼がどうしてこのフランチャイズを導く新たなチャンスを得られなかったのか、訳がわからなかった。けど彼は最高だったんだ。僕だけじゃなくて、若手たちにとっては本当に特別な思い出さ」と当時を振り返っていた。

文●秋山裕之(フリーライター)

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