【上司にパワハラ】上司不参加の飲み会代を上司に請求、支払った額は24万円超 「わかっちゅうろうにゃあ?」遠回しに支払い強要し1年3か月…50代消防士を停職1年の懲戒処分

同じ職場の“上司”に、1年3か月にわたって、飲み会代の代金などを支払うよう強要した「パワハラ行為」で、50代の消防士が、停職1年の懲戒処分を受けました。“遠回しな言い方”で、上司に支払いを強要していたといいます。

懲戒処分を受けたのは、高知県津野町の「高幡消防組合津野山分署」に勤務する、50代の男性消防司令補です。高幡消防組合によりますと、この消防司令補は2022年1月から2023年4月にわたって、同じ職場の年上の上司である、50代の消防司令補に、飲み会の代金などを支払うよう強要していたということです。

パワハラ行為は、約1年3か月間、あわせて「8回」確認されています。パワハラをした消防士はこの期間中、上司が参加していない飲み会で代金を請求したり、業務後に食事代を請求したりしていたということです。

その際、上司に対し「腹が減ったにゃあ…(お腹がすいたなぁ…)」「わかっちゅうろうにゃあ?(わかってるだろうな?)」などと、“遠回しな言い方”で支払うよう強要していました。

さらに、上司が出席予定だった「ボウリング大会」を業務の都合で欠席した際、実際にはキャンセル料が発生していないにもかかわらず、「キャンセル料」として「1万円」を請求するなどしていました。

2023年末、津野山分署内で業務方針をめぐってトラブルがあり、消防本部が対処した際に「他にトラブルは無いか」尋ねたところ、今回のパワハラ行為が発覚。その後、「高幡消防組合消防本部」が管轄する、須崎市・津野町・中土佐町・梼原町・四万十町や消防管理職らで構成される「懲戒審査委員会」が、2月26日と3月1日に開かれ、今回の件について調査が行われていました。

その結果、加害者の男性消防士の言動を「パワーハラスメント行為」と認定し、消防本部はこの消防士を、10日付けで「停職12か月」の懲戒処分としました。

被害を受けた上司は、強要されて支払った金額を全て記録していて、その額は「24万円を超えている」ということです。一連のパワハラ行為で精神的苦痛を受け、数回、病院に通院しましたが、現在は回復しているということです。

パワハラをした消防士は、これまでの聞き取りや懲戒審査委員会での釈明で、行為について認めていて「(金額が)そこまで積み上がっているとは思わなかった。申し訳ない。今後は謝罪していきたい」などと話しているということです。

今回の原因について、高幡消防組合消防本部は「市町村をまたぐ人事異動が行われておらず、分署内で1人の個人に権力が集中してしまった。内部での長期にわたる不適切な出来事が確認できていなかった」としています。

再発防止策として、今年度から「分署同士で人事交流」をしたり、「消防本部だけでなく各市町の役場にも相談窓口を設置」したりしていて、「“風通しの良い環境”を整えていきたい」としています。

池田洋光組合長は「消防職員がこのような不祥事を起こしたことについて、深くお詫び申し上げる。ハラスメント防止に関する取り組みを強化し、組織の風土や組合の体質改善に取り組む」とコメントしています。

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