東北大学、複数ドローン着陸技術「EAGLES Port」が強風下での精密着陸を実現。水平着陸により着陸速度と精度を大幅に向上

概要

近年、ドローンの利用は物流、救助活動、農業など多岐にわたる分野へ拡大している。しかし風の強い条件下での精密な着陸と、複数台運用時の着陸場所の確保は大きな課題だ。

東北大学タフ・サイバーフィジカルAI研究センターは、同センターが開発し特許取得済みの複数ドローン着陸技術「EAGLES Port」が、風の強い条件下でのドローンの着陸性能を大幅に向上させることを、風洞施設での実機実験により初めて明らかにした。

従来の垂直着陸方式に代わるこの新技術は、安全かつ迅速な着陸を可能にし、ドローンの実用範囲を拡大するという。

強風下でのEAGLES Portへの着陸試験の様子

【詳細な説明】

研究の背景

近年、ドローンの利用は物流、救助活動、農業など多岐にわたる分野へ拡大している。しかし風の強い条件下での精密な着陸と、複数台運用時の着陸場所の確保は大きな課題だ。

この課題を解決するために、東北大学タフ・サイバーフィジカルAI研究センターは、2020年、複数ドローン連続着陸技術EAGLES Portを開発した。

EAGLES Port は、ドローンが水平に着陸するための新しいゲート型メカニズムを備えている。ドローンが飛行の勢いを保ったまま着陸できるため、従来の垂直着陸方式では困難だった強風下での着陸が可能となり、着陸速度や精度の点でも優れることが期待されていたという。

また、EAGLES Portは着陸したドローンを複数台収容できるため、着陸場所の問題も解決可能だ。

今回の取り組み

EAGLES Portに市販ドローンを着陸させる試験を、様々な条件の風を発生できる福島ロボットテストフィールドの大型風洞施設で行い、EAGLES Portの着陸速度と精度を評価した。

試験の結果、EAGLES Portへの着陸は、従来の垂直方式と比較して着陸時間を平均35%短縮し、着陸精度も大幅に向上することが初めて確認された。

また、複数のドローンを用いた試験で連続して迅速に着陸できたことから、EAGLES Portは多ドローンの運用にも対応可能でだという。

今後の展開

東北大学タフ・サイバーフィジカル AI 研究センターでは、EAGLES ポートのさらなる最適化と、自動水平着陸システムの開発を進めるとしている。

これにより、ドローンの自律的な着陸が可能となり、実世界での幅広い応用が期待されるという。また今回の試験の詳細は、今後、雑誌論文等で発表予定だ。

風のある条件(最大8m/s)で着陸に要する時間の比較。橙がEAGLESPort、青が従来の垂直着陸。左の領域の横点線が平均着陸時間を示す。EAGLES Portは、垂直着陸と比較して約35%着陸時間が短かった。

▶︎東北大学

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