【インタビュー】WANDS、『名探偵コナンvs. 怪盗キッド』テーマソング「大胆」に挑戦「初々しい気分でいられるのは嬉しい」

WANDSが4月10日、TVシリーズ特別編集版『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』テーマソング収録CDシングル「大胆」をリリースする。『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』は、4月12日公開の劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』のキーパーソンとなる“月下の奇術師・怪盗キッド”の誕生や、ライバル“コナン/新一”との初対決など、TVシリーズ伝説回を再編集して劇場公開されたものだ。「大胆」は『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』のために怪盗キッドをテーマとして書き下ろした新曲となる。

音源としては通算7thアルバム『Version 5.0』以来約8ヵ月ぶり、CDシングルとしては通算20thシングル「RAISE INSIGHT」以来約11ヵ月ぶりとなる新曲「大胆」は、作詞を上原大史、作曲を柴崎浩が手掛けた。サウンドはスリリングでスタイリッシュ。颯爽として鮮やかな曲展開が、怪盗キッドのイメージをそのまま音像化したような仕上がりだ。言葉は鋭く艶やか。コナンとキッドの関係性も滲む人間ドラマが歌詞に描かれた。

BARKSでは「大胆」制作過程やレコーディング秘話について、特にサウンド&プレイにも着目しつつ聴きどころを深く語ってもらった。また、これまでシングルのカップリングにはWANDS過去曲の第5期によるセルフカバー収録が定番化していたが、今回初めて新曲が通常盤に収録されている。従来のWANDSサウンドと異なる曲調も新しい「honey」について、そして名探偵コナン盤に収録された「真っ赤なLip [LIVE ver. from WANDS Live Tour 2023 〜SHOUT OUT!〜]」に漲るバンド感について、さらに6月より開催される第5期初ホールツアーについて、じっくりと訊いたロングインタビューをお届けしたい。

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■恋愛的な戦いとコナンとキッドの戦い■どちらにも受け止められるように

──新曲「大胆」はTVシリーズ特別編集版『名探偵コナンvs. 怪盗キッド』のテーマソングです。制作にあたって、『名探偵コナン』サイドから曲調や歌詞について要望などはありましたか?

柴崎:今回は結構ありましたね。WANDSスタッフと『名探偵コナン』スタッフの方とで話を詰めた結果、わりと細かく…たとえば、怪盗キッドが現れる時の劇伴があって、「それを彷彿とさせるフレーズなり、音色なりをイントロに差し込んでもらえたら嬉しい」とか、ものすごく具体的なリクエストもいただきました。あとは、基本的に疾走感があるもの、怪盗キッドのイメージに合うものとか。もし楽曲と怪盗キッドのイメージが合えば、「今後の『名探偵コナン』でも登場テーマソングとして使いたい」ということもおっしゃっていただいたようです。

──イントロのストリングスは、まさに怪盗キッドを思わせます。

柴崎:実は最初、『名探偵コナン』側の要望を踏まえた曲作りにトライしたんですけど、自分のなかでどうもしっくりこなくて。一旦すべてをリセットして、怪盗キッドのイメージを自分なりに表現してみようと思ったんです。それで、怪盗キッドから受ける大きな印象だけをもとに制作していったという。そのなかでイントロは、かなり最後のほうにできた感じで。できた時には僕自身、“これはいいでしょう”と思いました(笑)。

──途中で思い切って考え方を変えたことが良い結果につながったんですね。では、「大胆」はどんなイメージをもとに作られたのでしょう?

柴崎:怪盗キッドをイメージした時、Aメロ、Bメロ、サビ(Cメロ)といったパートの切り替わりのコントラストをしっかりさせて、鮮やかな曲が書けたらいいなというのがおぼろげにあって。そういうビジョンから制作に入っていきましたね。Dメロみたいなところはフルアレンジを作っている流れでできたんですけど、“泣きの部分があると上原(大史 / Vo)がなにかいい歌詞を書いてくれるかな”…みたいな(笑)。

上原:えっ、そうなんですか? それは知らなかった(笑)。でも、たしかにDメロはロマンチックで、エモーショナルなパートじゃないですか。そういう要素が入っているのは、僕もすごくいいなと思いました。

──もうひとつ。この曲はサビで転調しますが、そのキーのまま間奏に入って途中で元のキーに戻りますよね。このアレンジがすごくいいですね。

上原:戻し方、カッコいいですよね。

柴崎:転調してしまったがために、戻らないといけないという(笑)。どうやって戻ろうかなって結構苦労しながら考えました。

上原:戻し方はセンスが問われるところですから、悩むところですよね。いきなりガーンと戻す方法もあるし、しれっと分からないように戻す方法もある。いろいろあるなかで、どれを選ぶかという。

柴崎:そうだね。だから、転調したり戻したりというのがあると考え込むけど、カッコよくもなり得るというか。この曲は、いい感じにできたんじゃないかなと思います。

▲上原大史 (Vo)
──間奏の途中でスパッと切り替わるのが快感ですし、そこにも怪盗キッド感があります。上原さん、「大胆」の歌詞についても話していただけますか。

上原:歌詞も『名探偵コナン』側からリクエストのようなものがありまして。「大胆」はタイアップありきの書き下ろし曲なわけですが、「あからさまな歌詞じゃないほうがいい」という要望だったんです。つまり、“コナン × 怪盗キッド”の大義感みたいなものは出してほしいけど、それを直接的なワードを使わずに表してほしいというもので。前回担当したTVアニメ『名探偵コナン』のオープニングテーマ「RAISE INSIGHT」(2023年5月発表)みたいなリンクのさせ方ですよね。前回は偶然それができたんですけど、今回はそれを狙って書くという。アニメに寄り添い過ぎず、しっかり怪盗キッドをイメージさせるもので、なおかつスタイリッシュな感じを意識しつつ。そこで結構頭を悩ました部分はありましたね。

──怪盗キッドをイメージさせながらもライバル関係や恋愛要素も思わせる言葉なども入っていて、なおかつ全体としてはロマンが香る絶妙な歌詞になっています。

上原:ありがとうございます。恋愛的な戦いとコナンとキッドの戦いを混ぜ込んで、どっちにも受け止められるような感じにしているので。

──『名探偵コナン』が好きな方も、WANDSリスナーの方も楽しめる仕上がりですね。では、「大胆」のギターやボーカルのレコーディングはいかがでしたか?

柴崎:ギターはストレートな感覚です。あまりたくさん工夫しないみたいな。

──すす、すみません。ストレートではないと思いますが…もちろんいい意味で。

柴崎:そうですか?

──たとえば、イントロやサビなどは左右のチャンネルのギターが有機的に絡み合うアンサンブルになっていますし。

柴崎:そう言われるとそうですね(笑)。完全なダブルではなくて、左右で少し違うフレーズを弾いています。左チャンネルはわりと歪みを抑えた感じでコード感を出して、右のほうはファットな感じにしたような。単なるディストーションサウンドの白玉(全音符や二分音符)でもありといえばありですが、リズムを出せたらいいかなみたいなアプローチです。

▲通常盤
──ステレオ感を活かしたバッキングがすごく心地いいです。そして間奏はキメの合間で速いフレーズを弾いて、そこからバンとギターソロに突入するかと思ったら…。

柴崎:いかないんですよね(笑)。

──それがカッコいいと思いました。

柴崎:何小節かに一回出てくるフィルインが、わりと次に出てくるフレーズを待つ感じがあって。それを聴かせるほうがいいのかなと思ったんです。

──しかもキメ合間のフレーズが結構テクニカルですよね。

柴崎:そう。ここは「大胆」で一番難しかったかもしれない(笑)。

──“ダリダリダリッ”という速いフレーズはタッピングでしょうか?

柴崎:いえ、ハンマリングとハイブリッドピッキングというのかな。一番最後の音は右手の中指で弾いています。

上原:右手はピックと中指の両方を使うパターンですね。

柴崎:そうそう。全部ピックで弾こうとすると、最後の音は弦が飛ぶから間に合わないんですよ。それで中指で弾くことにしました。

上原:それが独特なニュアンスになっていて、すごくカッコいいです。

──同感です。ボーカルレコーディングはいかがでしたか?

上原:基本的には気持ちよく歌えましたけど、どう歌おうかな?と思ったのがDメロですよね。

──先ほど柴崎さんが、「泣きの部分があると上原がなにかいい歌詞を書いてくれるかな」とおっしゃってた部分ですね。

上原:そう。全く違うセクションとしてDメロが曲中にガッと入ってきたので。このドラマチックな展開をどう表現するかというところで、結構なパターンを録りました。

──Dメロの歌は思いが溢れた感じになっていて、すごく聴き応えがあります。

上原:僕が普段あまり使わないファルセットを用いて、儚い感じを少し入れてみました。

──表現の選択肢が広くて、それぞれのセクションに最も合う歌を歌えるというのは、さすがですね。

柴崎:そう、さすがだと思う。

上原:いやいやいや(笑)。

──声に色気もある上原さんは、本当にいいシンガーだと思います。

上原:色気があるというのはよく言っていただける言葉なんですけど、自分の人生で色気を意識したことがあまりになさ過ぎて全く分からない。ただ、スケベなだけじゃないですか(笑)? 内面のスケベなところが出ちゃっている。

柴崎:色気を押し出すわけではなく滲み出てしまう、というのがいいんじゃないかな。

■ギターパートもアレンジ要素のひとつ■この曲は楽しかったかもしれない

──では続いて、「大胆」通常盤のカップリング曲「honey」について話しましょう。

柴崎:「honey」は8ビートだけど、ダンスっぽい雰囲気も、ロックンロールっぽいニュアンスもある曲です。ライブで気楽に盛り上がれる曲を作りたかったのと、WANDSにはベースからスタートする曲がないのでベースリフ始まりにするのもいいなと。そのあたりを制作の導入口に作りました。頭のベースリフは、フレーズ的にいなたいというか、ベースは分かりやすいものにして、他のパートでがんばろうというイメージでしたね。

──幕開けのベースリフはスモーキーな味わいがカッコいいです。「honey」も曲中のセクションごとにテイストが異なりますが、そのあたりは自然な結果でしょうか?

柴崎: 1990年代の定番の曲構成ってあるじゃないですか。Aメロ、Bメロ、サビを2回繰り返して、間奏、Dメロみたいな。WANDSも当時はその形でしたけど、第5期として新たな曲を作るにあたって、そういうところから少し離れたものにもトライしてみようという考えもあったんです。だけど、「honey」は逆に1990年代の感じがいいのかなと思って、こういう曲構成にしました。

──ただ、曲構成としては王道ですが、Bメロがコンパクトだったり、サビ後半がメロディアスだったり。パチパチッと場面が変わるモダンな感覚もあって、1990年代オマージュという感じはしません。

柴崎:本当ですか? たしかに僕としても時代感は意識していなくて、あまり小賢しくしないほうがいいと思ってアレンジした感じですね。でね、歌がかなりロックフレイバーを持ち込んでくれたというのがある。歌い出しを聴いた瞬間、予想以上に良くてめちゃくちゃシビれました(笑)。

▲柴崎浩 (G)
──「honey」のブルージーなボーカルはすごく魅力的です。

柴崎:そう。上原のなかにそういう要素があることは知っていたけど、ちょっとビックリしたというか。いい歌を歌うなと改めて思いましたね。

上原:どちらかというと、こういうのは得意分野なんですけど、カップリングだからこそ出せたというか。タイアップ曲や表題曲でここまでやり切ってしまうと、“これはWANDSじゃない”とか、賛否もすごいだろうなと思うんですよね(笑)。だけど「honey」はカップリング曲で、そもそも他とちょっと異なる楽曲なので、好きなように歌おうというか、大史でしかない歌というか。往年のWANDSをまるで意識していないんじゃないか?というくらいのボーカルになっていると思います。

──それがいい方向に出ていると思います。

柴崎:そうなんです。何にも繋がれていない状態で、解き放たれたように歌っている感じがすごくいい。

──それに、Aメロには1拍3連のメロディが出てきたりして、そういうところにもセンスの良さを感じます。

上原:そこに令和を感じてもらえると思います(笑)。

柴崎:最近のK-POPに多いよね(笑)。

上原:そうそう(笑)。

──WANDSらしさを継承しながらも柔軟に時代性を採り入れることで、「honey」という楽曲に新たな魅力が生まれています。歌詞は夜のドライヴをモチーフにした艶やかなものですね。

上原:家で“うーんうーん”と聴く感じじゃなくて、ライブでみんなが楽しくなるような曲かなということで。勢いがあって、でもカッコいいみたいなところを意識して作詞しました。1980年代だったり、昔のヤンチャな感じを令和にフィットさせるように最適化した、みたいなイメージかな。

──オシャレありきのセクシー感が魅力的です。

上原:そこはやはり国民的バンドなので(笑)。WANDSという看板がある以上、セクシーを通り越して、ただのエロみたいな歌詞ではなくて、普通の人の少しセクシーくらいにとどめました。

▲名探偵コナン盤
──そういった見極めもさすがです。そして「honey」のギターはまず、クリーントーンと歪んだ音を左右のチャンネルに振ったアンサンブルが印象的です。

柴崎:この曲のバッキングはドラムとベースと一緒になって、気持ちいいリズムを出したいというのがありました。ユニゾンしているところも結構多くて、ちょっとした歌の隙間にメロディーになるようなフィルインというか、そういうフレーズが聴こえてきたらいいなというイメージでしたね。間奏は元々、最初の8小節くらいはギターソロを入れていなかったんだけど、上原が自由にフェイクを入れてくれて、だったらそれに呼応するようなギターソロを入れたらいいじゃんと思って、後から足したんです。

──そこから本格的なギターソロに入っていく流れも秀逸です。

柴崎:ライブっぽい感じになっているのもいいんじゃないかなって。ギターソロは、僕が大好きなブルージーなニュアンスを入れることにしたというのもあって、楽しく弾けました。

──ブルースフィーリングを押し出しつつ、エモーショナルなフレージングで締め括るあたりは柴崎さんらしいです。あと、この曲のギターは左チャンネルで鳴っているクリーントーンに軽い衝撃を受けました。ガツンとしたクリーントーンでコードストロークをされていて、柴崎さんはこういうプレイもされるんだ!?と思ったんです。

柴崎:ファンキーな感じにしたかったんです。だから、リアのハムバッカーピックアップでクリーンを弾いちゃうみたいな。洗練感のあるシングルコイルのハーフトーンとかじゃなくて、武骨な感じのクリーンでいきたかったので、ちょっと思い切ったことをしました。

──柴崎さんはストイックに曲作りやアレンジなどをされているうえで、ギターを弾くステップになると、いちギタリストとして弾くことを楽しまれている感じが伝わります。

柴崎:そうですね。この曲は楽しかったかもしれない。

──えっ、「この曲は」ですか?

柴崎:いや、曲全体のアレンジをしていると、ギターパートもそのアレンジ要素のひとつじゃないですか。なので、“ギターでめちゃくちゃカッコよくしてやるぜ”みたいな部分で言えば、そこまで元気が持たないというか(笑)。アレンジャーが別にいて、自分はギターを弾くだけであれば、“よし、腕の見せどころだ。カッコよくしてやろう”ってことだけに頭を使えるけど、自分でアレンジもするとなると、他にエネルギーが必要なところがたくさんあるんですよ。

──なるほど。楽曲トータルで見るプロデューサー的な視点も必要でしょうし。

柴崎:僕が曲を作る時の優先順位って、まず曲を聴いてノレるとか、楽しいとか心地いいとか、歌いたくなるメロディーである、といったことが上のほうにあるんです。ギターはそう思わせる要素のひとつじゃないですか。なので、優先順位が低くなりがち。その一方で、“お前、ギタリストじゃん”とも思うし、事実ギタリストとして見られているわけだし、“ギターをがんばらないでどうするんだよ”とも思うわけですよ。そういう自分のなかでのせめぎ合いみたいなものは、たしかにありますね。たとえば、アレンジャーが別にいて「ギターソロのコード進行どうしようか」という話になった時、僕はわざわざ難しくするんですよ(笑)。で、いざギターソロをレコーディングするとなったら、コード進行が難しくて弾けない…みたいな(笑)。

上原:あはははは!

■また新しいWANDSを■楽しんでいただける

──ちなみに、これまでカップリングには第5期によるWANDS過去曲のセルフカバー収録が定番化されていて、新曲がカップリング収録されるのは今回が初ですね。2曲の新曲を聴けるというのも素晴らしいです。そして、「大胆」の『名探偵コナン盤』にカップリング収録されたのが、「真っ赤なLip [LIVE ver. from WANDS Live Tour 2023 〜SHOUT OUT!〜]」というライブトラックとなります。

柴崎:「真っ赤なLip」は『名探偵コナン』ファンの間で人気があるらしいという情報が入りまして。その言葉を真っ正面から受けて、今回、ライブテイクを入れることにしました。というのも、「真っ赤なLip」の音源とはまた違って、二家本(亮介)君のベースと神田(リョウ)君のドラムのソロがインサートされていたり、歌とかギターもスタジオレコーディング時よりも解き放たれたフィールがあるんですよね。

──楽曲が持っている洗練感とライブならではの勢いのバランスが絶妙です。それに、今回のシングル収録3曲を聴かせていただいて改めて思ったのは、WANDSはサポートのリズムセクションも主張していてバンド感があるということで。そこもWANDS第5期の大きな魅力になっています。

柴崎:僕は曲を作る時に、いつもベースをがんばっちゃうんですよ。曲の善し悪しにベースラインが大きく影響している感覚があるから。リズムセクションはすごく大事だからしっかり作り込んで、聴いてくれる人がより気持ち良く感じるものにしたいんですね。

──分かります。ベースの重要性に気づいていないミュージシャンは意外に多い気がしますし。

柴崎:これ、あるある話ですよね。たとえば、ギターを始めた頃って、自分もベースの音が聴き取れなかったような気がするんですよ。“ベースってどの音?”みたいな。上原もそうじゃなかった?

上原:僕は全パートを同時スタートしたので、そういうことはなかったんです。

柴崎:やるね(笑)。「真っ赤なLip」作曲者の大島(こうすけ)君は、僕以上にドラムとかベースが好きなんですよ。この曲を聴いていただけると、すぐに分かると思いますけど。

▲木村真也 (Key)
──WANDSは3人のユニットだということを打ち出すために、リズムセクションをシンプルにアレンジするパターンとは真逆ですね。

柴崎:たぶん僕は、好きなんだと思いますね、バンド感というか、全パートに意味があって成立している音楽が。だから自然とWANDSも、こういうスタイルになっているんです。

上原:リズムセクションの二人は第一線で活躍されている方々なので予め分かってはいるんですけど、毎度毎度本当にすごいなと改めて思います。自分が小さくなりかねない(笑)。

──ところがそんなことは全くなくて、あの強靭なリズムセクションの上で輝きを発するWANDSメンバーは、さすがの一言です。とはいえ、「真っ赤なLip」ライブバージョン間奏の超絶テクニカルなソロ回しにはビックリしました。

柴崎:ですよね(笑)。

──その間奏で超高速2バスなども出てきますが、生で踏んでいるのでしょうか?

柴崎:はい。曲中で2バスとかは出てこないし、ベースソロもすごいことになっていますから、聴いた人はビックリしますよね(笑)。今回のライブトラックはぜひ皆さんに聴いてほしいですね。

──同感です。このソロ回しは最初からイメージされていたのでしょうか? それともライブを重ねていく中で、徐々に形になっていったのでしょうか?

柴崎:神田君も二家本君も自分のパートの崩し方については、リハーサルや本番を繰り返していくなかで様子を見つつ、「ここは音源から変えても大丈夫ですか?」と聞いてきたりするんです。僕はその問いに「自分印を入れてもらったほうがいいので、どんどんやってください」と答えていて。そういうアイデアが出てくると、こっちも嬉しいし楽しいんです。サポートのリズムセクションも自分の役割とか、“WANDSのライブとはどういうものなのか”みたいなものをすごく考えてくれている。こういうふうにしたほうがバンドアンサンブルとしていいとか、ここは自分が目立ってもいいところ、といった感覚を持ってサポートに臨んでくれていることが伝わってくるので、本当に信頼しています。結果、どの曲もツアーを通してよりいい感じに育って、そういうなかで「真っ赤なLip」の間奏も今の形になりました。

──神田さんと二家本さんは、すごくやり甲斐を感じてWANDSで演奏されていると思います。

上原:楽しんで演奏してくれるのは本当にあり難いですね、空気感が全然変わってくるから。僕や柴崎さんのパフォーマンスに、絶対影響してくると思うんですよ。二人が楽しそうに演奏してくれるおかげで、こっちもより楽しくやれるという相乗効果がありますね。

柴崎:不思議なもので、撮った映像とかを観ても自分たちの表情に影響しているのがわかる。だから、二人にも楽しんでほしいし、そのほうがバンド全体にいい効果をもたらしてくれるので、これからもリズムセクションにはガンガンいってほしいんです。

▲nishgaki guitars Amnis Novus (Hiroshi Shibasaki Specs)
──理想的なパターンといえますね。ところで、最近柴崎さんが使用している主なギター機材も教えていただけますか?

柴崎:WANDS第5期始動の頃からnishgaki guitarsを使うことが多いですね。木目がそのまま見えているフィニッシュのオリジナルモデルです。あと、少し前に入手したSuhrのハムバッカーが付いたストラトタイプとか、今回のレコーディングでは使ってないけど、EVHのウルフギャングもありますね。

──アンプはどういうものを使われているのでしょう?

柴崎:フラクタル・オーディオ・システムのAxe-Fx IIIというモデリングアンプで。使っているシミュレーションはEVHの5150とかCAEの3+とか。キャビネットは4発入りマーシャルとEVHのキャビを混ぜたりしていますね。

──使用ピックは?

柴崎:いわゆるマンドリンピック系の小さな形で、素材はINFINIX-U。今まで使っていた素材はセルロイド系だったけど、減りがめっぽう早くて、それが嫌だったんです。今は池田工業のファクトリーブランドであるマスター8ジャパン製の白くて厚さが1mmのタイプを使っています。

──ピッキングは強いほうでしょうか? 厚みのあるピックでしっかりピッキングしていながらガチャガチャした音になっていないことから、ピッキングコントロールの上手さが分かります。

柴崎:もしかしたら速く弾く時だけは軽いかもしれないけど、ピッキングは基本的に強いほうじゃないかな。

──さて、シングル「大胆」はWANDSサウンドの幅広い魅力を味わえる必聴の作品になりました。6月から7月にかけて開催されるWANDS第5期初の東名阪ホールツアー<WANDS Live Tour 2024 ~BOLD~>も楽しみです。

柴崎:去年のZeppツアーが、自分たち的に非常に手応えがあって、もっと多くの本数をやりたいなという感覚を持ったまま終わったんです。今度は初のホールツアーということもあって、キャパが少し大きいし、曲数も増えると思うので、チャレンジという感じかな。この歳になっても、まだ初々しい気分でいられるのは嬉しいことだと思いますね。どうなるかなっていうワクワク感を楽しみたいし、皆さんにもまた新しいWANDSを楽しんでいただけると思っています。

上原:前回のZeppツアーは、ライブを重ねるたびにクオリティーがどんどん上がっていって、ファイナルもすごくいい空気感で終わったんですよ。柴崎さんと同じように、僕ももっとツアーを続けたい気持ちがあった。今回のホールツアーはその続きでもあるし、前回のツアーでは演奏しなかった新曲とか昔の曲も入ってくるので、すごく楽しみです。ファイナルの東京ガーデンシアターは8000人キャパの大きなホールですから、埋まってくれるといいですね(笑)。観応えのあるライブにするためにがんばるので、ぜひ皆さんに集まっていただきたいです。

取材・文◎村上孝之

■21stシングル「大胆」

2024年4月10日(水) CDリリース
※TVシリーズ特別編集版『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』テーマソング
【通常盤 (CD)】
▼CD収録曲
1. 大胆
作詞:上原大史 作曲 / 編曲:柴崎浩
2. honey
作詞:上原大史 作曲 / 編曲:柴崎浩
3. 大胆 [OFF VOCAL]
※初回プレス分のみ:SPECIAL MOVIE (「大胆」MVメイキング映像)視聴用シリアルナンバー封入
【名探偵コナン盤 (CD+アクリルスタンド)】
※完全限定生産
※『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』描き下ろしアニメ絵柄ジャケット
封入特典:アクリルスタンド (江戸川コナン vs. 怪盗キッド) 付
▼CD収録曲
1. 大胆
作詞:上原大史 作曲 / 編曲:柴崎浩
2. 真っ赤な Lip [LIVE ver. from WANDS Live Tour 2023 -SHOUT OUT!-]

▲通常盤

▲名探偵コナン盤

▲封入特典:アクリルスタンド

■デジタルシングル「大胆」情報

2024年1月5日 (金) 配信開始
ダウンロード&ストリーミング配信中
http://wands.lnk.to/daitan

■TVシリーズ特別編集版『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』
2024年1月5日(金)全国公開
https://www.conan-movie.jp/2024/tvspecial/

▲デジタルシングル「大胆」

(c) 青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 2024

■第5期初ホールツアー<WANDS Live Tour 2024 ~BOLD~>

6月25日(火) 愛知県芸術劇場 大ホール
7月02日(火) 大阪国際会議場 グランキューブ大阪 メインホール
7月08日(月) 東京ガーデンシアター
https://wands-official.jp/

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