なべやかん遺産|「終活」 芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「終活」!

変なホラー映画よりも怖い老後

取材対応メインコレクションルーム。

最近よく耳にする言葉、それは “終活“だ。最終的にコレクションをどうするか?

若い頃は老後なんて永遠に訪れないと思っていたが、50才を過ぎるとじわじわ感じてくる。

先日、ラジオゲストに司法書士さんが来て老後のトラブルを色々と聞かされた。遺産の事だけでなく痴呆になった時の問題など、全ての話が恐怖だった。真剣に老後を考えた時の話の方が変なホラー映画よりも怖かった。真の恐怖を教えられ正直今ビビっている。

終活を特に口に出しているのは第一次怪獣ブーム世代の人達だ。現に亡くなられて行く人もいるので寂しい思いをかなりしている。終活に関し自分はどうするか?

確実に言えるのは、あの物量のコレクションを残されても親族が困るって事。全ての価値もわからないし、纏めてリサイクルショップに引き取ってもらったとしても安い値段を言われるだけ。それなら生きているうちにある程度何とかしないといけない。

出来れば何も見ないで2?3億円置いて行ってくれて荷物を引き取ってくれる人がいい。

一品一品丁寧に見て値段付けて行ったら時間ばっかりかかって仕方がないし、あれはいらない、これもいらない、とか言われたらまた別の買取り相手を見付けないといけないからね。

特に撮影用プロップに関してちゃんとわかっている人は少ないのでこれだけはしっかりやっておかないといけないって思う。

プロップを売るなら海外のオークション会社かな?

ゴジラ関連はその方が高値になるだろうし海外の方がプロップに対して理解されているしね。

コクレター歴40年でもない物が

ウルトラマンなどのヒーローソフビ量は飾っていない物が10倍ある。

終活を本気でする場合、どこからおこなうかも問題だ。コレクションの核になる部分は絶対に崩せない。別にコレクターを辞めるわけではないから。コレクションは死ぬまで続けるしまだまだ手に入れないといけない物だって沢山あるしね。

絶対に必要ない物を売っていく事になるのだが、それはどういったものかと言うと、とりあえず展示イベントや資料貸しやテレビ&雑誌取材に使わない物になる。

これらはさほど値段にならないが、無くなればスペースが出来るので別のコレクションが置けるかもしれない。

現在のコレクションは手付かずで茫々になった盆栽みたいなものだからちゃんと綺麗に整えないといけない時期に入ったのも事実だ。いらない物を売って軍資金が出来れば核になる部分のコレクション強化資金にもなる。

最近、コレクションの師匠と電話でゆっくり話をしたのだが、我々が集めている怪獣映画の台本ですらお互いのコレクションを合体させてもコンプリートには程遠い事がわかったので落胆したばかりだ。40年以上コレクターをやっているのに、まだ見た事が無い物があるのだから本当に嫌になる。コレクターの世界って本当に恐ろしい。

屋根裏部屋も納戸もサービスルームも物でいっぱい。
段ボールに詰まったコレクションの山。

恐ろしいついでに、なぜ物が増え続けるのかって事も書いておこう。本当に欲しい物、集めている物が全て簡単に手に入りコンプリート出来たら、増える量も決まってくると思うのだが、現実問題そう簡単に行かないので他の物に目が行ったり、関連性を求めて行ったりしてメインが手に入らない間はそちらで気を紛らわせていく感じ。

だから以前自分が書いた本のタイトルが『コレクターという病』だったのだ。ギャンブルで多額の借金を作った水原一平氏をとやかく言えないよ。

自分だってコレクション依存症みたいなものなのだから。そんな病におかされた物が段ボールに入れられて積み上げられている。

テレビ、雑誌、SNSで皆さんに見せている第一コレクションルームにも無数のグッズが詰まっていて皆さんを毎度驚かせているが、見せてない物の物量はその10倍ある事も知ってもらいたい。だから終活をしないとって思うのだ。

全体の3割くらいまで減らす目的で今年から進めよう。そして核になる部分を1割増やせれば最高!

悲しい終活でなく楽しい終活をこの3年で行いたいと思う。でも本心は終活前に全コレクションを展示するかコレクション本にしたいけどね。イベンターの方、出版社の方、ご興味あればお声がけ下さい。

物量だけは凄いですから。町おこし、村おこしに『なべやかんミュージアム』なんていかがでしょう?

絶対楽しい空間になりますよ~。

映画プロップ類は海外オークション会社行きかな?(まだまだ先ですが)

なべやかん

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