経済安保で日米連携強化 対中念頭、供給網構築

バイデン大統領(右)と会談する岸田首相=10日、米ホワイトハウス(AP=共同)

 日米両首脳の共同声明は、半導体など戦略物資のサプライチェーン(供給網)構築をはじめ経済安全保障分野の連携強化を打ち出した。欧州などの同志国も巻き込み、中国を念頭に特定国に依存しない供給網を整備する。人工知能(AI)や量子、次世代太陽電池といった先端技術での協力も盛り込んだ。

 バイデン政権は半導体製造で影響力を増す中国を警戒し、対中規制を強めている。世界的に中国への半導体依存度が高まれば、中国が貿易制限や関税引き上げといった手法を通じて他国の政策に影響を及ぼす「経済的威圧」につながりかねない。両首脳はこうした危機感を共有し、連携して対処していくことを確認した。

 AI技術では民間企業や大学が参加する新たな協力枠組みを発足。1億1千万ドル(約167億円)規模を拠出して研究開発を後押しする。両国の安全性評価機関の連携を深め、日米が主導する形のルール作りを加速させることも申し合わせた。

 エネルギー分野では、水素や浮体式洋上風力発電など脱炭素の取り組みを共同で推進するための閣僚級対話を創設する。

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