伏木曳山祭、縮小し開催 道破損も住民の声受け 安全配慮、「かっちゃ」会場変更

提灯山車が激しくぶつかり合う伏木曳山祭の「かっちゃ」=昨年5月、高岡市伏木中央町

 5月17、18日に高岡市伏木で行われる「伏木曳山祭(ひきやままつり)」の実行委員会は10日、能登半島地震で山車(やま)の巡行ルートの道路が損壊しているため、規模を縮小しての開催を決めた。全7基の山車は例年の4分の1の規模で巡行、山車をぶつけ合う目玉の「かっちゃ」の会場を変更。実行委は、中止を求める声の一方で、子どもを含め住民から開催の要望があり、安全面に十分配慮し実施する。祭りを通じて伏木復興を後押しする。

 10日の実行委総会で針山健史会長は「祭りをしてほしい」という地元の要望に応えたいとして、「曳山を後世に繋ぎ、地域に元気を出してもらいたい」と話した。当番町である本町の脇田歩総々代は「まだまだ課題が多い。無事祭りが終わるよう精進する」と話した。

 実行委や各山町などは、2月、復興祈願や伝統継承のため祭りの開催を決定した。その後の調査で、複数の巡行ルートで電線の垂れ下がりや道路の傷みがあり、山車が通れないことが判明した。実行委独自に道路の空洞化調査を行い、協議を重ね、安全な順路を決めた。

 祭りは5月17、18日に開催する。18日は山車の奉(ほう)曳(び)きとかっちゃを行う。昼間は伏木本町の山倉から十七軒町以外の6基の花山車が出発し、伏木本町を中心に巡行する。伏木コミュニティセンターにある十七軒町の山車は、同センターから伏木湊町などを巡る。

 いずれの山車も午前10時すぎに出発し、昼の巡行を終えた後、提灯山車に姿を変える。夜は午後7時に出発し、同11時に終了する。

 かっちゃは例年、伏木本町の児童公園前と伏木中央町の法輪寺前で行うが、いずれの会場も地震の被害を受けて実施は困難という。会場や回数、参加する町は協議して今月中をめどに決める。

 17日は山倉で山車のライトアップを行う。観光客の駐車場となる伏木万葉ふ頭は使用できないため、祭りの積極的な誘客宣伝はしない。かっちゃを観覧する「桟敷席(さじきせき)」の設置も見送る。

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