金沢南部で連続不審火 寺地、円光寺の住宅 玄関先ごみや下草焼く

不審火の現場を調べる捜査員と消防隊員=10日午後0時35分、金沢市円光寺本町

  ●700メートルで2件

 9日夕から10日午前にかけて、金沢市南部の住宅2軒で不審火が相次いで確認された。寺地2丁目の住宅では玄関前に置いてあったごみ袋と外壁の一部が燃え、円光寺本町の住宅では敷地内の下草などが焼けた痕跡が見つかった。いずれもけが人はいなかった。二つの現場は約700メートルの距離にあり、金沢中署は何者かが火を付けた可能性があるとみて、関連性を含めて調べる。ともに火の気がない場所で、周辺住民には不安が広がった。

 金沢中署と金沢市消防局によると、9日午後6時ごろ、寺地2丁目の60代男性方の木造2階建て住宅で、玄関先に置いていた二つのごみ袋から火が出ているのを60代妻が見つけ、水をかけて消し止めた。住民は翌10日朝に「ごみに火を付けられた」と110番通報した。ごみ袋は住民が9日午前に出し、グラスなどの不燃物が入っていた。

 10日午前9時半ごろには、寺地2丁目の現場から南東に約700メートル離れた円光寺本町の60代男性方で、住民が敷地内の下草が燃えた跡を見つけ、通報した。出火時間は分かっていないが、住民は9日午後5時ごろに異変がないのを確認しているという。

 下草は約2平方メートルが燃え、木造2階建て住宅の雨どいや木片なども焼損した。

 署と市消防局は10日、2件の現場で実況見分を行ったが、原因の特定には至らなかった。焼け跡から油分は検出されていない。火の気のない場所であることから、署は事件性があるとみて捜査している。石川県警は同日、交流サイト(SNS)で「屋外に燃えやすい物を置かないようにしてほしい」と注意喚起した。

  ●付近住民「怖い」

 現場はいずれも住宅密集地で、敷地内に置かれていた物が燃えていた。寺地2丁目の現場近くに住む50代男性会社員は「放火かもしれないと思うと、怖くて恐ろしい」と話した。円光寺本町の40代男性は「一刻も早く原因を知りたい」と声を震わせた。

火が付けられたとみられるごみを調べる捜査員=10日午前10時20分、金沢市寺地2丁目

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