熊本県内の23年度の企業倒産70件 2年連続増加 建設業の小口倒産増 TSMC進出の恩恵広がらず

 東京経済熊本支社が5日発表した2023年度の熊本県内の企業倒産(負債額1千万円以上)は、前年度比13件増の70件で、2年連続で前年度を上回った。建設業で、負債額1億円未満の小口倒産が増加。熊本地震の復興需要の反動減に、人手不足や原材料価格の高騰が重なったという。全体では、新型コロナウイルス禍前の19年度(74件)に迫った。

 負債総額は前年度比35・8%減の90億3700万円。負債額10億円以上の大型倒産が前年度の3件から1件に減ったことが影響した。

 業種別では、建設業が前年度から9件増の24件と最多で、小口倒産が12件増の20件を占めた。このほかサービスが2件増の18件、小売りが前年度と同数の6件で続いた。新型コロナウイルス関連倒産は3件増の33件だった。

 3月単月では、件数が前年同月比1件増の10件、負債総額は85・5%減の5億5千万円だった。

 東京経済熊本支社は「建設業では、熊本地震の復興需要が一巡したのに加え、台湾積体電路製造(TSMC)進出の恩恵が地場業者に広がっていない。創業からの年数が比較的短い企業の倒産が目立つ」と分析。「業種を問わず、人手不足や原価の上昇で経営環境は厳しさを増している。中小企業を中心に倒産が増える可能性がある」と見通した。

 帝国データバンク熊本支店が同日発表した県内の23年度の法的整理件数は12件増の68件。負債総額は88億3千万円だった。(田代智也)

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