【ソフトバンク】山川穂高がベルーナ凱旋へ 西武ファンにとって「この3連戦が決別の儀式」か

ベルーナドームへ凱旋するソフトバンク・山川

西武が12日からソフトバンクと本拠地・ベルーナドームで今季初対戦する。公式戦の無期限出場停止処分を科せられたままFA移籍した山川穂高内野手(32)は、昨年5月に女性スキャンダルが明るみに出て以来、初めて古巣本拠地でライオンズファンの前に立つことになる。元同僚との対決を前に、西武関係者の間では「ファンにとってはこの3連戦が彼との決別の儀式になる」とささやかれている。

山川は西武に在籍した10年間で3度の本塁打王、打点王にも1度輝き、2013年のドラフトで同期入団した森友哉捕手(28=現オリックス)とともにリーグ優勝に貢献するなど一時代を築いた。

しかし、最終年となった昨年に自身が引き起こした醜聞騒動で、その後の始末に追われた球団側との関係は改善されないままチームを去った。人格者として知られる渡辺GMがFA交渉の過程で〝雲隠れ〟を続けた山川に対し「われわれもいろいろな思いがある」と球団内の声を代弁したように、今も関係者の心の奥底には消化し切れない思いが沈殿している。

そして、置き去りにされたライオンズファンも同様だと球団関係者はみている。

「彼はファンに対してケジメをつけないまま移籍してしまった。そこが浅村や森と違うところ。だから、ファンにとっては今回の3連戦がその決別の儀式になるんじゃないですか」

「ケジメ」とはFAで同一リーグに出て行った浅村と森にあって、山川になかったものだ。それはファンとの〝別れの場〟を指している。浅村は18年、森は22年のファンフェスタ開催前に去就問題を決着。その2人は離れるチームのファンフェスタに参加し、短い言葉ながらも応援してくれた西武ファンへ感謝の気持ちを直接語った。

浅村は「ドラフト3位で指名していただき10年間、ここまで成長させてくれたこの球団に対して本当にFAで出ていいものか本当に悩みました。でも、この世界にいる以上、挑戦し続けたいという気持ちが大きくなり決断いたしました」。

森も「9年間、いい時も悪い時も熱い声援をしてくださったファンの皆さま、ありがとうございました。一度しかない野球人生を自分なりに悩み、考え抜いた結果、新しい環境で野球をすることを決めました」と別れのあいさつを済ませ、スタンドのファンは複雑な思いを抱きながらも拍手で2人を送り出した。

しかし、今回の山川に限っては昨年11月のファンフェスタに不参加。〝ケジメ〟をつけないまま今に至っている。球団関係者は「別に球団から欠席を促したわけではない。10月のフェニックス・リーグには出場していたわけですから、参加しなかったのは本人の意思です」と振り返る。

また、今回のホークス3連戦の前売りは順調だといい、ライオンズファンからブーイングが起きることは間違いない。それがどれほどの規模となり、ファンの感情がどんな形で表現されるのか…。前主砲との〝決別の3連戦〟の行方が注目される。

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