阪神・伊藤将司投手(27)が10日の広島戦(甲子園)に先発し、2回8安打6失点でまさかのKO。今季初黒星を喫するとともにチームも2―6で敗れた。
好調時は140キロ台後半を計測する直球も、この日は大半が130キロ台にとどまった。自慢の制球も精彩を欠いた。2回に6本の長短打を立て続けに浴び、この回だけで5失点。不運な当たりに泣かされた面もあったが、得意としていたはずの鯉打線の波状攻撃を食い止めることができず序盤からゲームを壊してしまった。
「決めにいったボールも甘くなってしまい相手の流れを止めることができなかった」。降板後の左腕のコメントからも苦悩がにじみ出た。安藤投手コーチは「いい状態ではない」と背番号27を評した上で、次戦の登板については「終わったばかりなので分からない」と言葉を濁した。
伊藤将は入団から3年連続で年間20試合以上に先発登板し、10勝7敗(防御率2・44)、9勝5敗(同2・63)、10勝5敗(同2・39)と安定した成績をマーク。タイトル獲得歴こそないものの、虎先発ローテを〝若き大黒柱〟として支え続けてきた、チームに不可欠な存在だ。
昨季のクオリティースタート(6回以上自責3以下)率は実に85%オーバー。12球団屈指の救援陣との相性も良く「優秀な先発投手が数多くそろう阪神先発陣の中でも、最も『計算が立つ』ありがたい存在」(球団OB)と周囲からも高い評価を受けてきた。
だからこそ左腕のパフォーマンスが今季、大きく落ち込むこととなれば虎投手陣全体に及ぼすダメージは甚大だ。事実、この日も長いイニングを期待したはずの伊藤将が2回で降板したことが響き、チームは救援4投手を消耗することになった。
「去年は何もかもが、うまくいき過ぎたからな。今年はそうはいかんって。混戦になると思ってるからな。俺は」。開幕前に岡田監督がこぼした言葉も徐々に現実味を帯びてくる。伊藤将の一日も早い復調が待たれる。