23・24年度建設投資、建築補修が想定以上の増加/建設経済研ら

建設経済研究所と経済調査会が建設投資予測の最新推計を10日発表した。投資総額は名目値で2023年度が5・2%増(1月時点の前回推計で4・6%増)、24年度が2・5%増(0・7%増)、実質値で23年度が2・5%増(2・1%増)、24年度が1・5%増(0・1%増)と試算し、いずれも前回推計値を上回るとした。政府投資、民間投資ともに建築補修(改装・改修)投資が「想定以上に伸びている」(建設経済研)ことが主要因。高止まりする建築コストを背景に、投資計画を新築から改装・改修に見直す動きが加速している可能性もありそうだ。
投資総額は物価変動の影響を取り除いた実質値で見ても、23、24年度ともに微増となり回復基調にある。ただしコスト増が続いており、海外景気の後退リスクや能登半島地震、日本銀行によるマイナス金利政策の解除決定などが与える影響を注視する必要性を指摘する。
分野別に対前年度の増減率を見ると、政府分野投資(建築補修を除く)は名目値で23年度4・3%増、24年度1・5%増。実質値では23年度1・2%増、24年度1・1%増。民間住宅投資は名目値で23年度0・7%増、24年度1・6%増。実質値では23年度0・4%減、24年度0・3%増。持ち家の着工戸数は23年度のすべての月で過去10年の最低値となり、今後の強い回復材料も見込めない状況にある。
民間非住宅建設投資は名目値で23年度1・2%増、24年度1・2%増。実質値では23年度1・8%減、24年度0・2%減。事務所や店舗の着工床面積が近年でも低水準にあるが、24年度は若干持ち直しの動きも見られる。
建築補修投資は名目値で23年度20・9%増、24年度8・8%増。実質値でも23年度16・8%増、24年度6・4%増。国土交通省の「建築物リフォーム・リニューアル調査」の実績を踏まえ前回推計値を大幅に上方修正した。既存建物の省エネルギー改修の増加が目立ち、働きやすいオフィス環境への改装や、住宅省エネ化の補助金政策が寄与したとみる。

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