「清原和博の長男」正吾がプロ志望決意「野球からのブランク」の共通点で連想されるもうひとりの「父子鷹」

2023年4月、東京六大学春季リーグでの清原正吾

プロ通算525本塁打を放ち、名球界入りも果たした清原和博氏。その長男で、慶大野球部4年の清原正吾が、プロ野球についてスポーツ紙に語ったのは2023年のことだった。

大学の3年間で放った安打はわずか1本ということもあり、言葉は謙虚であったが、熱き思いは十分に伝わってきた。

「このままじゃ絶対に行けないと思っているんですけど、最後の1年間で目指せるものであれば目指したいなと思います。なんとか親孝行したい気持ちで覚悟を決めて入部した部分もあったので、最後、形として残るように春も秋も安定して試合に出続けて、ずっと応援してくれている家族のためにも恩返ししたいです」

本人の言葉どおり、慶大野球部へは覚悟の入部だった。父の影響もあって少年野球を始めたが、中学ではバレーボール、高校ではアメフトに汗を流した。6年ものブランクがあっただけに、スタートから、同級生には大きな差をつけられていた。

さらに、偉大な父の存在も足かせとなった。幼いころからの経験値が違っても、「あの清原の息子」といった言葉だけで片づけられ、つねに比較されてきた。

「入部当初は、同級生との実力の違い、父との比較などで悩んだ時期もあったと言っていました。ただ、彼は本当に努力家。そうした雑音も自分で消化し、どうしても父との比較をしたがるマスコミにも、あえて飛び込むように取材を受けていました。

実力も格段に上がってきましたね。2023年秋のオープン戦でも結果を出していたし、Bチームの4番を任されていました。慶大野球部の首脳陣も彼の成長には驚いており、レギュラーまでもう一歩のところまできているといいます。もしレギュラーを勝ち取り、結果を出せば、上位は無理としても下位、あるいは育成での指名はあるかもしれません」(スポーツ紙記者)

正吾は中高と野球から離れた時期があったが、ブランクといえば、この人物が思い出される。ともに「父子鷹」の立場となる長嶋一茂だ。

彼もリトルで野球を始めたものの、中学では陸上部と、いったん野球から離れ、高校からカムバックした。もし正吾がプロ入りとなれば、“第二の一茂”ということになるが……。

「そういう期待は、たしかに球界ではあります。メジャーリーグにはアクーニャ、タティース、ゲレーロらに代表されるように、ジュニア選手はたくさんいます。ところが、日本球界ではほとんどおらず、2024年、横浜に渡会(わたらい)隆輝が入ってきたのが久々の話題でした。それだけに、清原正吾への期待は大きいんです」(同前)

現在の正吾と、かつての一茂を比較すると、どのような感じなのか。

「大学時代、体格的には正吾が身長186cmで一茂が182cmでしたが、パワーは明らかに小柄な一茂が上でした。その飛距離は天性のもので、そこにプロも注目していました。正吾は、まだ一茂のようなセールスポイントが確立されていない。そこをこの1年で、どう確立していくかですね。ただ、基本的な“やる気”という部分では圧倒的に正吾のほうが上ですね(笑)」(スポーツ紙デスク)

4年生となった正吾は、就職活動をまったくしていないという。それも“やる気”イコール“覚悟”とみた。勝負の春は、4月13日の東大戦で幕を開ける。

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