【ソフトバンク】小久保監督 一軍予備軍の最短昇格を明示「1巡したら動きあるかも」

ソフトバンク・小久保監督

ファーム初視察の真の狙いとは――。ソフトバンクの小久保裕紀監督(52)が10日に福岡・タマスタ筑後で行われた二軍のオリックス戦を観戦。左手中指のまめの影響で開幕直前に戦列を離れた和田の実戦復帰をチェックし、二軍戦力の状態把握に余念がなかった。

この日の視察は先月中旬の時点ですでに組み込まれていた。すなわち、それは和田の復帰戦が筑後訪問のメインテーマではなかったことを意味する。試合前練習から姿を現すと、二軍メンバーやリハビリ組の選手らに積極的に声をかけた。試合はネット裏から最後まで視察。鋭い視線で期待の若手や一軍昇格候補らの状態をくまなくチェックした。

小久保監督らしい深謀遠慮があった。「基本的には(一軍開幕時の)スタメンのメンバーはほぼ固定なんで、そういう状態では入れ替えが少ないという中でリチャードとも話はした。ただ、1巡したら動きはあるかもしれない。それは選手も分かっているだろうし、僕のいろんなところの発言も見ているだろうしね。そういう点では来て良かった」。

対戦カードが1巡するまでは、春の競争を勝ち抜いた選手を固定起用するのはセオリー。だが、主力を託した選手にも波はあり、有事も起こり得る。開幕スタメンの形が見えた段階で、次善の策に考えを巡らせてきた鷹の将らしい動きだった。

声をかけられた一軍予備軍のモチベーションが上がったことは言わずもがな。指揮者の目が直接向けられたこと、どのタイミングで昇格するチャンスがあるのかをメディアを通して明確に伝えられたことは選手にとって大きい。一軍メンバーも刺激を受け、危機感をあおられたはずだ。

この日の二軍戦は攻撃陣が17安打9得点と爆発し、投手陣は零封リレーで締めた。球界初の4軍制を敷き、12球団最多の選手数を誇るホークス。〝見てるぞ〟というメッセージは伝わっている。

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