【ガーデニング】園芸家・青木純子さんの庭を美しくキープする春の作業「花がら摘み」「害虫予防」「つるの誘引」

約30年にわたり、京都にある自宅の庭をつくってきた園芸家・フォトグラファーの青木純子さん。年齢を重ねても、無理なく美しい庭を維持するために、試行錯誤の末、たどりついたのが「手間いらずの多年草で長く続けられるローメンテナンスガーデニング」でした。ここでは、青木さんの春の園芸作業「花がら摘み」などについて教えていただきます。

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ミモザが満開になると春の園芸スタート

3月下旬~4月上旬のミモザが満開になるころ、そろそろ春のガーデニングのスタートです。少しずつ成長する植物たちのペースに合わせた小さな作業が主なので、のんびりと作業が進められます。

花が終わった早春のスイセンやヒヤシンスの花がらの整理、伸びてきたクレマチスのつるの誘引など、毎朝の見回りで、見つけたら整理し誘引する、そういったついでにできる小さな作業です。

そしてミモザが満開を過ぎたら、春一番の大きな作業、ミモザの強剪定が待っています。また、ソメイヨシノの花が散るころ、手に入りにくい草花のタネまきをすることも春の恒例行事です。

バラも新葉を展開し始めるので、毎朝、葉裏にチュウレンジハバチの幼虫がいないか、アブラムシの発生はないかをチェック。

そんな本格的な春の訪れとともに少しずつ増えてくる、わが家の春の園芸作業をご紹介します。

花がら摘み(3月〜適宜)

咲き終わったパンジーの茎を手でつまみ、くるっとひねると、簡単に根元からとれる。こまめに取り除いてタネをつけないようにすると、長くたくさん花が楽しめる。
花後、スイセンは花がらのみ根元から整理。葉が黄色く枯れるまでそのままにして球根を太らせる。5月後半、ナメクジの温床にならないように枯れた葉をとる。

害虫の予防(3月〜適宜)

アブラムシなどの害虫が発生しやすい、パンジーやビオラ、バラ、オダマキ、クジャクアスターなどの草花の足元に、オルトランの粒剤などを適量まいておくと、害虫予防に効果的。
虫食いの葉や変色した葉を見つけたら要チェック! ガが卵を産みつけたオダマキの葉を取り除き、幼虫も探して捕殺。早めに対処するのが、病気や害虫を広げない大切なポイント。

ミモザ(ギンヨウアカシア)の強剪定(3月下旬〜)

生育旺盛なミモザの剪定前の様子。
ミモザの花後、少し葉を残して強剪定。長くてまっすぐな剪定枝は、小枝を落として支柱やオベリスク作りに使い、花がきれいな小枝で春のリースやブーケを作る。
強剪定したミモザの枝葉。左の小枝を落とした長くてまっすぐな枝は支柱に、右の整理した花がらや葉は、乾かして自家製腐葉土作りの材料に。

手に入りにくい草花はタネをまいて

タネから草花を育てると、咲いてくれた喜びはひとしおです。でも、すべてタネから育てたら、わが家の小さな庭では置く場所の確保も大変です。そこで、苗が手に入りにくい草花だけ、タネから育てることにしています。4月上旬のソメイヨシノの花が終わるころ、タネまきを開始します。

【用意するもの】タネまき用土、土入れ、バケツ、ジフィーポット、穴あきトレイ、タネ
自然に土にもどるジフィーポットの8分目まで用土を入れ、タネまき後、覆土が必要なものには軽めに土をかけ、ジョウロでやさしく水をまく。
タネまき後、約1カ月もすると本葉を展開し始めた。しばらくはひなたに置き、乾かないように水をやさしくたっぷりとあたえて。

伸びたクレマチスのつるの誘引(3〜6月)

クレマチスは3〜4月に芽吹き、つるを伸ばし始めます。剪定枝を添えて、少しずつこまめにつるを塀や樹木に導くと、絡ませたい場所に誘引できます。

ステンレスのワイヤーに誘引( ‘プリンスチャールズ’ と ‘ミセス・T・ルンデル’ )
板塀に渡したステンレスのワイヤーの内側に、挟むようにしてつるをやさしく誘引する。
5月下旬、満開のクレマチス3種。薄紫色は多花性で人気の ‘プリンセスチャールズ’、赤紫色は ‘ミセス・T・ルンデル’、下に咲くのは ‘テッセン’。
ステンレスのワイヤーに誘引( ‘プリンスチャールズ’ と ‘ニュー・ヘンダーソニー’ )
約7㎝に切ったビニタイをくるくる丸めるようにして、つるをステンレスのワイヤーに固定する。しっかり縛ると、簡単につるが折れてしまうから要注意!
ビニタイを約7㎝に切って使うと、クレマチスの繊細なつるをワイヤーに留めやすい。
誘引後。
5月下旬、ブラックベリーの枝や、塀に渡したステンレスのワイヤーにつるを絡めて咲くクレマチス。薄紫色の花は ‘プリンスチャールズ’、濃い紫色の花はわが家の新顔の、花形が個性的な ‘ニュー・ヘンダーソニー’。
低木に絡ませて誘引( ‘エンテル’ )
ビニタイなどで固定しなくても、近くにある樹木の枝葉につるを絡ませるようにするだけで、咲いてほしい場所に自然に誘引できる。絡ませているのは、赤軸アジサイの枝葉。
6月、薄ピンク色の ‘エンテル’ が、赤軸アジサイに絡み満開に。ビニタイなどを使わずに低木の枝葉に誘引したので、仕上がりがとってもナチュラル。
トレリスに誘引( ‘テッセン’ )
5月下旬、花壇奥の、白花のバイカウツギとアジサイ ‘安行四季咲き’ の間に植えた ‘テッセン’。つるが自然に樹木の枝に絡み、白と紫色が個性的な花を多数咲かせた。
トレリスに誘引( ‘エレガフミナ’ )
5月中旬、足元にラズベリーを植えたトレリスに絡んで咲く ‘エレガフミナ’。ビニタイの使用は最小限にして、トレリスの穴につるを導いて絡ませた。

次回は「咲き終わった花の整理」など春の作業について、青木さんに教えていただきます。

※この記事は『長く続けられる美しい庭づくり 』青木純子著(主婦の友社刊)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

撮影/青木純子


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