【広島】久々ビッグイニングの裏に〝積極走塁〟 新井監督「どんどん動かしていこうと思っていた」

2回、会沢の適時打で生還した広島・上本(右)

やはり赤ヘル野球は「機動力」が原点だ。広島は10日の阪神戦(甲子園)に6―2で快勝し、連敗を4でストップ。試合前までリーグワーストタイの4戦連続零封負け、36イニング無得点と貧打にあえいでいた打線がついにお目覚めだ。

初回に一死三塁で内野ゴロの間に先制すると、2回には6本の長短打を浴びせて大量5得点で一気に試合を決めた。このビッグイニングで全開だったのが、チームの伝統でもある機動力野球だった。

一死一塁から会沢の左翼線二塁打で上本が、二死一、二塁の菊池の左中間二塁打で野間が、いずれも一塁から一気に本塁へ生還。さらに二死二塁で小園の左前の当たりでも二走の菊池が生還を試み、本塁で微妙なクロスプレーになりそうなタイミングでも、全て〝青信号〟で本塁突入を成功させた。

試合後の新井貴浩監督(47)は「チャンスがあれば、どんどん動かしていこうと思っていた」としてやったり。前日まで1点が遠かった状況を踏まえれば、走者も三塁コーチャーも本塁へ近づけば、近づくほど走塁は慎重になりがちになりそうなもの。しかし、三塁コーチャーで腕をグルグルと回し続けた赤松真人守備走塁コーチ(41)は「監督からも『萎縮した判断をするのはダメ』と、日ごろから言われている」とキッパリだった。

この日の阪神の左翼手は強肩を誇るノイジーよりも、やや守備力が劣る3年目の前川。もちろん一連の走塁は「肩の強さとか、チャージはどうかとか、事前に頭に入れておくべき準備はみんなに浸透していた」(赤松コーチ)と、状況判断において全員の意思統一がなされていたからこその得点だ。

4点差での勝利を考えれば、積極走塁で生還した3人が結果的に効いた形。10試合でわずか1本塁打の新井カープは走りまくって状況を打開する。

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