4月11日はガッツポーズの日!スポーツ漫画で印象に残った“ガッツポーズの瞬間”

『SLAM DUNK』第16巻 [DVD](東映)

4月11日は日本記念日協会のウェブサイトにて、「その他の記念日」の分類で「ガッツポーズの日」とされている。1974年のこの日、ボクシングの試合でガッツ石松さんがKO勝ち。そのときにとったポーズをマスコミが「ガッツポーズ」と名付けて日本中に広まったのが由来とされている。

人が何かを成し遂げて感極まった瞬間、思わずしてしまうのがガッツポーズだ。それは、これまでの苦労や努力が報われたからであり、見ている側もつい熱くなってしまう。

そこで今回は、スポーツ漫画で印象に残ったガッツポーズの瞬間を紹介していきたい。

■『SLAM DUNK』安西先生が小さくガッツポーズ

まずは井上雄彦さんによる『SLAM DUNK』(集英社)から。本作には数多く名シーンがあるが、安西先生のガッツポーズはかなり珍しい。

それは安西先生が感情を表に出さない性格で、良くも悪くも生徒たちをあたたかく見守るという姿勢だからだ。そのため、何を考えているのか良くわからない……という印象もある。

そんな安西先生が試合中にガッツポーズをするのが、山王戦での流川のプレーに心動かされた瞬間だ。流川はこれまで沢北に1on1で勝てずに、何度も得点を許すことに……。

このままでは駄目だと思った流川は、これまで頑なにパスを拒んできたのを止めて、赤木にパスを出すと決める。それを受け取った赤木が得点を決めたのに対し、安西先生がガッツポーズをしていた。

この選択の裏には仙道との1on1が関係していて、そのとき彼は「1対1もオフェンスの選択肢の一つにすぎねえ」「それがわからねえうちは おめーには負ける気がしねえ」と言われていた。流川はそれを思い出したのだ。そんな流川の成長や勝つための可能性が見えたからこそ、安西先生も喜びを爆発させたのだろう。

ワンプレーかもしれないが、試合の流れを大きく変える起爆剤になったのは間違いない。

■『はじめの一歩』千堂武士の勝利を確信してのガッツポーズ

次は、森川ジョージさんによる『はじめの一歩』(講談社)の千堂武士が試合中に見せたガッツポーズだ。

千堂は日本フェザー級王座決定戦でヴォルグと試合をすることになるが、テクニックでは明らかに相手の方が上。ことごとくパンチをかわされては反撃を許してしまい、6ラウンドまで一方的にボコボコにされて耐えている状態だ。そして、ついにダウンをしてしまい、ここで終わりかと思われた……。

しかし、千堂はヴォルグが足を引きずっているのを見てチャンスと考え、自らの得意技であるスマッシュの一撃に賭けようとした。そしてボディを撃ち込んで距離を詰めると、これまで見せてこなかった利き腕でのスマッシュを決める。

このパターンを予測していなかったヴォルグはまともに食らってしまい、大の字になってダウンをしてしまう。ここで勝利を確信した千堂が、高らかにガッツポーズをして見せた。

切り札を最後までとっておいて、ここぞという時に決められたからこそ、千堂は手応えを感じたのだ。これまでの試合展開をひっくり返す一撃でもあったので爽快感もある。

ボクシングはある意味命がけの戦いでもあるので、勝った時に本能で喜ぶのも当然だと思う。ガッツポーズの日の由来である理由もよくわかる。

■『ハイキュー!!』木下と西谷のWガッツポーズ

最後は、古舘春一さんによる『ハイキュー!!』(集英社)の春高バレーでの烏野高校と稲荷崎高校の試合のシーンから。烏野の2年生・木下久志は、これまでほとんど試合に出られなかったが、だからといって決して腐りはしなかった。

彼は練習を怠ることなく、来たる自分の出番のためにずっと備えていたのだ。そして、待望となった出番はピンチサーバーとしてである。3年生のためにも結果を残さなくては……そう思っていた彼だったが、大した活躍はできずに下がってしまう。これには本人も悔しさしかなかった。

それから敵サーバーが宮侑に変わったため、かなり厳しい状況となる。宮侑のサーブには、木下と同じ2年の西谷夕が苦しめられてきたからだ。これまでと同じような状態なら何点も決められてしまう……。そう思った木下は、外から西谷の姿勢を見て「西谷 前ッ」と叫んだ。

それによって西谷は宮侑のサーブに反応してオーバーで取ることができ、得点につながった。これは木下が西谷のサーブ対応の練習にずっと付き合ってきたからの結果である。

味方につなげて得点が決まった瞬間、西谷は木下に向けてガッツポーズをして、木下も同じくガッツポーズで返していた。いろんな想いがここに集約されているからこそ、感動的な名シーンでもある。

ガッツポーズは、素直な感情の爆発を形にしたものだ。努力が報われた瞬間や勝利に対する喜び……。そこに至るまでの道のりを知っているからこそ、感動もひとしおである。

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